第3章 リーザス陥落
第45話 カスタム防衛戦
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と動いた。それを見たアイゼルは。
「何か、気に病む事でも、ノス?」
表情の読めないノスが漏らした呼気から、意を察した為、視線を向けたのだ。
「ヘルマン軍ども……、歩みが止まったようだな」
「ああ……」
それは、皇子を通じて、軍内部の情報は絶えず入ってくる。今でこそ、リーザスを陥落せしめたと言う事で、有頂天になっているあの皇子だったが、勿論吉報だけではないのも事実だ。アイゼルは、小さく肩を竦めてみせた。
「少々、抵抗に遭っているようですね。これだけの優勢。多勢に無勢状況であるのにも関わらず。……まるで 美しくない。所詮は人間、と言う事を考えれば納得ですが」
「ふっ…… 足りぬ」
嘲りさえ優美に、何処か楽しむように呟くアイゼルに対し、ノスは短く、そして重く吐き捨てた。
「混乱を、拡大するのだ。……今少しばかりは、奴らには踊ってもらわなければならぬのでな」
「そうですね。……演者が物足りなければ、梃子入れが定石、でしょう」
「……出せるか?」
「ええ。既に1人。使徒を向かわせております。それで多少は 埒が明くでしょう」
「ふん。……世話の焼ける」
ノスはそう呟くと踵を返した。
忌々しさも無論沸くが、また、あの男の傍へといく為だ。現在はサテラがいる。……あの娘だけでは 心配だから、と言う理由も少なくはないのだった。
〜リーザス城 ヘルマン軍司令部〜
玉座に座しているパットン。
全てを手中に納めたと 言わんばかりに手を開いて、そして握り締めた。
「ふ……ふふふ、リーザスは既に我が手中。そして、自由都市地帯も最早時間の問題だ。全て我がヘルマン第3軍により、制圧されるであろう」
脚を組み直し……、そして口元に手を置いてにやりと笑った。
「おめでとうございます。パットン皇子!」
部下の皆が平伏し、頭を垂れた。
「ふ……くふふふ……、これで 父上も私を認めてくださる筈だ。否、認めざるを得なくなる。あんな売女との間で生まれたシーラに皇帝の座を取られてたまるか。……例え、あんな売女、そしてステッセルに踊らされているだけだとしてもな」
元々パットンは、皇帝と妾との間で生まれた子であった。それを認める前に、母親を失ってしまった。妾の地位のままに……。
「ヘルマン共和国の次の皇帝は 私以外にある筈が無いのだ……、く、ふふふふふ……」
笑みを絶やす事無く、笑い続けるパットン。
――……誰からも愛される様な皇子にと願っていた彼の母親、今の彼を母親が見たらどう思うだろうか。
それは、誰にも判らない。
パットン自身も、考えてすらない事だった。
「そう、パットン様しかあり
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