偽りある “衝動” の大火
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……くそ! やっぱ本気じゃなかったのかよ!」
「ぬぐ……ああもう! さっきまでだってギリギリだってのに……!」
よく見ると本気になったと言うのは比喩表現では無いらしく、今まで単なる宝石作りにしか見えなかった仮面や脚から、陽炎の様な揺らぎが見て取れる。
炎もより一層強さを増して煌々と燃えあがり、度々吹く風が熱風となってテイルレッド達の頬を焼いて行く。
それでも尚……名前にもなっていると言うのに、属性力を奪われる前の始めこそ機能していた、各語翻訳機器を介して知った“衝動” と言う言葉とは無縁とでも言わんばかりに、当人自体の放つ空気は冷たいモノだった。
「'Ll ?aujiet gremd??ana……」
「来たっ!」
テイルレッドが裏拳の要領で打ち込まれる左腕を受け止めようと、剣を掲げた瞬間に関節があらぬ方へ曲がり、頭部を殴打されて声もあげられず宙を舞う。
彼女へ狙いを定めたかテイルブルーへとより強力なソバットを叩き込んで、地面を砕く威力で跳躍して追いついた。
攻勢に出るウージと応戦するテイルレッド、大刃と鈍器交える異質な音が響き渡り、三合目の打ち合いで行き成り合われた『二つ目の右腕』で地面に衝突させられる。
「がふっ……くそ、ダメージが……!」
呻くテイルレッドをウージが仮面越しに睨み、両の腕を大きく上げる。
更に腕を振り降ろし、細く長くのばして地面に食い込ませ、左脚を曲げて右足を突き出した。
次何が来るなど…………言わずもがな。
しかしそこに、黄色い閃光が割り込む。
「出し惜しみで最悪の結果など御免……ここで全段撃ち尽くしますわ!!」
「お願いイエロー!」
叫ぶと同時に倒れ込んだレッドを掻っ攫い、テイルブルーは大きく距離を取る。
空中に居るチャンスを逃してはならない―――決意を抱いた目でイエローは睨み、全身に仕込まれた武装を余すことなく展開する。
そして始まるは……雷鳴轟く集中砲火だった。
「はああああぁぁぁぁっ!!」
「《炎弧壁》……!」
降り注ぎし雷の兵器軍を前にしたウージは、円を描いて作りだされる炎の壁を使い、強引に全ての弾丸を吹き散らしてく。
だが……攻撃をしようと目論むのは、イエローだけでは無い。
地面を蹴る音が二つ聞こえ、ウージが後ろへ視線を向けるが、もう遅い。
「「でええぇやああああぁぁぁっ!!」」
「……!」
右へと振り斬られし焔の剣と、左へと振り斬られし水の槍が、ウージの背中を確かに切り裂いた。それと同時にイエローの銃弾も着き、全ての武装がパージさ
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