偽りある “衝動” の大火
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っ二つに割ってしまった。
それでもなけなしの防御を重ねたか、皮一枚で繋がり蝶番の如くパクパク蠢いている。……そこへ高速で迫る、爪を模したが如く曲げられる手を翳した、グラトニーの左腕。
無言で頭部を乱暴に掴み、慣らしか軽く縦にニ回転してから、三回転目に風による推進力を付ける。
「ウラアアアァァァッ!!」
「〔ジョボビギィィィィッ!!??〕」
鋭い指を突き立てた地面への投擲により、今度こそ “腕” のエレメリアンは真っ二つとなった。
広げた腕も相まってバレリーナの様にクルクル回りながら右斜めな半身が、レールでも敷いてあるのかまるで回転を見せない左斜め半身が、それぞれ別方向へ飛んで行く。
「う、ああぁぁああっ!!」
それでもまだグラトニーの攻撃は終わらない、いや終わらせない。
分かたれた半身の、頭部のある方めがけて地面に着地するや否や、未だ口を動かしている敵へとアイアンクロー。
握る手に力が込められた瞬間―――六本目の指が突き刺さり、一瞬で “腕” のエレメリアンの頭が三倍に膨れ上がる。
「……《握風科斗》……!」
「〔ジョオ―――〕
余りに地味な乾いた音が鳴り響き、“腕” のエレメリアンはまともな断末魔もあげられず―――頭部を握りつぶされた。
……不思議なまでに、先程までの災害にも似た大きな喧騒はピタリとやんで、辺りに不気味なまでの静寂を取り戻させていた。
『相棒、属性力を補給しトケ。終わったなら指定位置まで移動シロ』
「?」
『アイツの最後の抵抗って奴ダナ……何を貰っタカ、アイツクラスじゃあ出来ねえ筈ノ、ワープの邪魔をしてやガル……分かったらダッシュダゼ!』
「ん」
流れ出た靄を吸い込み、肉体へと喰らい付き、“腕” のエレメリアンが蓄えていたエネルギーを余すことなく自分の物へと変えて行く。
味わいもせずに即行でグラトニーは食事を終えると、斜め右後方へ振り向いて目を細め、その瞳に先程までと負けず劣らずの殺意を湛えて、遥か遠方を睨みつける。
「殺させない……私が、食べてやる……!」
その言葉を口にした直後、破裂音と共に彼女の体が掻き消えた。
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ドロドロに溶けた鉄骨、真っ黒に焼け焦げたクレーター、太い塊から細い幾本の“何か”が生えている小さく不格好な “炭” ―――――ここが森の中にあった工場跡地だと言って、一体どれほどの人が信じるのだろうか。
断続的に鳴り響く爆発音と、残る緑を舐めるように焼いて行く炎が、この地をまるで別な物へと変貌させていた。
地形が
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