偽りある “衝動” の大火
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手へ、両手でバック転し速点と同時に空気を噴出、グラトニーは全弾を掠らせずに躱した。
見えずとも不発を悟った“腕” のエレメリアンは、一度腕を振るわせ体を縮込める。
……瞬間、柔らかい筈の『泥地から』硬質的な響きが広がった。
「ジョオオアァァァ―――《ブレーク=ライフル》!」
「えっと……あっち、いやこっち……あ、まって……!」
このまま遠距離戦や、下手な近接戦闘を続けても負けるのは確実と見たか、『固定』して威力と硬度を高めた左腕を軽く曲げた。
そして自由に動く右腕を使い、“腕” のエレメリアンは柿色の光芒を引きながら、広い筈の泥地を室内かの如く所狭しと跳ねまわる。
この前見せた奥の手と同義の技だが、威力に速度に精度共に上昇しているのが見て取れた。
グラトニーも目で追えてはいるが、反射だけなら兎も角と右腕の打撃による不規則な軌道が邪魔し、思う様に軌道をつかめずにいた。
『ああモウ! ちょこまか跳ねまわりやがッテ!!』
ラースからも我慢できないと苛立ちの声が上がる。
より強力な単純感情種が出て来てしまった以上、彼等にとってこんな所で時間を食っている場合では無いのだが、しかしその思いから余計な焦りを生んでしまう。
ラースはまだいい方だが思考が幼くなっているグラトニーは、本来の実力を出せずにいた。
『ええい相棒一旦落ちツケ! 焦ったら焦る分だけ時間を浪費しちマウ! 一旦心を鎮めンダ!』
「で、でも……人、食べられちゃやだ……!」
『わーっテル! その為に落ち付けってンダ!! 向こうでも足止めしてくれてんダヨ!』
「……レッド達……! う、うん!」
焦燥ばかりが募る中でも、相棒であるラースの言葉だからか、深呼吸し始めるグラトニー。
何よりテイルレッドやブルー、イエローのいるツインテイルズが居るのだから、すぐには被害が出ない事を理解できたらしい。
彼女達が持っている間にケリを付けようと、大きく息を吐いてからグラトニーは敵を見据えた。
「〔ジョッハアアアッ!〕
「うばっ!!」
『立ち止まる奴があるカァ!?』
そして出来てしまった隙を逃さず、柿色のエネルギーを纏って回転するエレメリアンの腕が、見事彼女へヒットし遠くへと吹っ飛ばした。
先の苛立ちからの悪循環ではあるが、逆に頭は冷えたかグラトニーは少しばかり落ち着いている。
“腕” のエレメリアンの胸に刻まれる、深手に値する斬り傷はあるのだ。
『言いかよく聞ケ―――――ダ、分かっタナ?』
「わかったよ……りょーかい」
『よっシャ! やってやリナ!』
ラースから作戦をスーパーボールもかくやと跳ねまわる “腕”
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