序章3 サカでの戦闘
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族の人達。
だが誰も生きてはいなかった。
「っ!?!!!」
不意に胃からこみ上げてきたものを吐き出しうずくまる。
自分の見間違いだとそう言い聞かせてもう一度確認するが変わらない。
兵士たちだけではない、女子供関係なく殺されてサカの草原に放置されていた。
「ぐうっ、うっ………」
嗚咽に近い声を上げながら草原の草を握りしめる。
「許さない………!!絶対に、許さない………!!!」
何度も何度もそう呟きながら暫くそうして呻いていた………
どの位経っただろうか。
辺りも日が落ちて来て徐々に暗くなってきた。
「………」
スーは地獄絵図の光景を前に生きた屍の様に無表情でそこに居た。涙は涸れ、全てを出し尽くした様に枯れていた。
敵がまたここへやって来るかもしれない、屍を埋葬する時間も無い。
「まだ死ぬわけにはいかない………」
何とか気力を振り絞って立ち上がる。スーの愛馬が助ける様にスーに寄り添い、スーも手を掛けながら立ち上がった。
「この光景を絶対に忘れない………」
去り際にスーが呟く。
「一族の仇………灰色の狼の孫娘、スーが必ず果たす」
それは弱々しいが、それでもスーはハッキリと宣言するように呟いたのだった………
サカでの戦闘はベルンを介することなくジュテ族が鎮圧し、サカはベルンによって制圧された。
指揮を取っていた三竜将のブルーニャはそのまま自分の軍を率いてアラフェンへと向かい、サカの事は副将のゼハードとジュテ族の族長モンケにサカの事は任せた。
「ゼハード様、お疲れの様ですね」
「………ルクエか、どうした?」
リオル族の集落跡地。跡地といっても天幕や家はある程度荒らされてはいるものの、生活感をまだ感じるこの地にベルン軍のある一軍が駐留していた。
その中の大きな天幕にゼハードは居た。
椅子に座り、槍を支えに少し眠っていた。怪私等は無かったもののかなり疲労していたのだ。
そのゼハードに長髪の眼鏡の女性、副官のルクエが声をかけた。
「今し方ブルーニャ将軍から書状が届きました。内容は『ゼハード軍はジュテ族と共にサカへ留まり、未だ抵抗を続けるレジスタンスを殲滅せよ』だそうです」
「ブルーニャ将軍は?」
「ベルンに対抗するために集まっているリキア同盟軍との戦いに参加させるようでその準備を始めているようです」
「そうか………好機だな」
そう呟き、ゼハードはニヤリと笑った。
「ルクエ」
「はい」
「クルセトルにあの娘の捜索を命じろ
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