序章3 サカでの戦闘
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ブルガルが陥落した知らせを受けたクトラ族は直ぐに戦闘に参加しなかった者達をサカの草原に集結させた。兵達の連度ではブルガルに居た精鋭と比べれば劣るが、数ではブルガルに居た兵力と同等の数を集める事が出来た。
そんな中、クトラ族族長の孫娘スーがブルガルから逃げ延びた兵士達を迎え入れた。
成長したその姿はまだ幼さを残すものの、クトラ族一の美女として成長しており、長くしなやかに伸びた薄緑の髪は艶を見せ妖美に見えた。
「ルーか。迎えご苦労………」
そう疲弊した声で答える祖父、ダヤンの様子を見て、ルーは言葉が出なかった。
貫禄のある顔に髭、厳しい口調にそれに違えない実力。頑固一徹と言う言葉がピッタリとあうこの祖父がルーにとって自慢だった。
ダヤンにブルガルに行かせて貰えなかった事を最初は怒っていたが、敗戦したとの報と『灰色の狼』と呼ばれた祖父の今の姿を見て、何も言えなくなってしまった。
「族長、ご無事で何よりです………」
「シンか………準備はどうなっている?」
シンはルーの護衛を兼ねてダヤンから選ばれた腕利きの青年だ。ダヤンの事を誰よりも慕っており、その実力はルーも納得するところ。少々過保護だが、ルーにとってクトラ族でダヤンの次に信用出来る人物だ。
「クトラ族の戦える者殆どを総動員しています。更にブルガルに兵を出す事を渋っていたジュテ族も流石に危険だと思い、かなりの数の兵力を動員してきました」
「くっ………!!あの時、アレスの言葉に耳を傾けていればここまでの事にはならなかったものの………!!」
ブルガルに兵士を集中させる提案をしたのは部族長会議に参加していたアレスであった。
ダヤンもアレスの事は大いに信頼していた。だからこそクトラ族も全面的に協力する事にしたのだ。ダヤンが動けば周辺部族もこぞって動いてくれた。………しかしジュテ族だけは違っていた。
『本当のシンの民では無い者の話など到底信じられぬわ』
それがジュテ族の族長モンケの言葉であり、それに増長した少数の部族は戦力を全くよこさなかった。
その為、その埋め合わせをクトラ族とリオル族で補ったのだが、今回の敗戦でその数を2割まで減らしてしまった。
「………リオル族はどうなっておる?」
「住民達は続々と避難してきています。ベルンの襲撃にあった様で、アレス殿が殿を努めたとテレス殿から報告がありました」
「ブルガルからリオル族の集落は近い。そこを狙われたか………」
そんなシンの報告をスーは唇を噛みしめながら聞いていた。
スーはダヤン達が帰る前にリオル族の元へ向かっていた。幼馴染達の事を確認するためだ。
「アレスの息子はどうした?」
「逃げてきた中にはいませんでした。住民達も知らない様です」
シンの言
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