第二話:月日は流れる。
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挙動の停止をどう汲み取ったか、楓子は早口に『エレメント]V』の魅力とやらを語り始めた。
しかしこの娘、空想を妄想の域まで昇華できる無駄な才能の持つ代わりに、それを他者へと伝える能力は全くない。
……詰まるところ、何を言っているのかが分からない。
向こうからすれば評論家張りの弁舌を述べているのだろうが、此方からすれば不可解な単語を羅列されているだけだ。
この文句は二度目になるが、文句が自然に浮かぶぐらい普通にウザったい。
「とにかく一度読んでみて! これも置いてくね! じゃっ!」
「あ…………おい」
一頻り語ると嵐の如く去っていき、しかし『エレメント]V』の既刊五つと、コスプレセットらしきモノは置いて行ってしまった。
ちなみに鬘は無いがワックスはあった。恐らくその “黒崎水城” とかいうやつは、俺と髪の色が同じなのだろう。……ラノベキャラと同じとは、泣いたらいいのか喜んだらいいのか……。
「……まあいいか、暇潰しだ」
これ以上ストレスを増やさない為に身の丈に合った、比較的入試が楽な学校を受験する予定なのだし、受験勉強ばかり続けて煮詰まっても仕方ないと、取りあえず一巻から読む事にした。
「……へぇ、これは中々……」
意外とはまった。読んでいる内に、心に張り付いてきた負の思考は、段々と晴れて行った。
この本が思わぬ第二の癒しをくれた事は、少しばかり彼女に感謝できる事柄である。
まぁ……だからと言って、コスプレはしたくないが。
結局置いて行った五巻全部―――今のところ七巻まで出ているので、二巻分読んでいない―――読み終える頃には、既に深夜一時を回っていた。
「……寝るか」
そばに置かれたコスプレセットを見ながら、明日の朝も早いのだとベッドへ横になる。
特に夢を見ない方である俺だが、その日は珍しく超能力を使う夢を見たと言っておこう。
敵に向かって炎の球体を投げ付けた所で目ざましが鳴り、俺は日の光を顔に受けながら目を覚ます。
まぶしい、うるさい、まだ寝ていたいの不快感三コンボを払いのけ、さっさと私服へ着替えて境内へ向かい、箒で払い清める。
……と、ふと見てみると、何時の間にやら絵馬が奉納されている絵馬掛が一杯になり、次の絵馬が掛けられない事に気がついた。
これも一応役割なのだし、今燃やしてしまうか……。
「いや、ちょっと待てよ……」
焼却場へ向かおうと踏みだした先、俺はある事思い出してそこで踵を返し、家へと走って戻ってから『半黒歴史』ノートを持って戻ってくる。
元々鬱憤晴らしのために書いたものだ。用などとっく
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