暁 〜小説投稿サイト〜
少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第二話:月日は流れる。
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
る。


 見知った者達なら、慣れ始めてきている事も相まって、まだいいと言える……だが教師達は普通に傷付けているだけ。状況が良くなる事などありえない。


 耐えきれなくなり両親に相談したが、父親には努力が足りんと突っぱねられるわ、母親はその心の傷を癒す為にラブコメってこいとぬかすわ、結局状況は改善しなかった。



 そんな俺が、今しがた手にしているノートに、恨み辛みを全部ぶち込んでドロドロとした感情をぶちまけ、中二病真っ只中とも言える設定を書き出したのも、ある意味では仕方無かろう。
 前世で読んでいた漫画の設定を少し真似し、更にその頃特に捻くれ曲がっていた俺は、どこぞの最強設定のような能力(ちから)にはせず、甚振る事も出来る設定を作り上げた。

 書いている内に負の感情からでは無く、純粋に楽しくなりバランスをある程度―――どころか完璧に無視して、継ぎ足し続けたのは完全な余談である。



 が、そんな生活ともようやくお別れ出来そうだ……何故なら、俺の年齢や学年から分かる通り、もうすぐ受験だからだ。

 流石にずっといびり過ぎて反発が起きたのか、教師も最近は大人し目で何処を受けるかなどは厭味ったらしく言って来ず、俺は悠々と受験勉強に集中できるようになっている。
 どこでも良いから進学出来れば、晴れて奴等ともおさらばと言う訳だし、やる気も湧く。



 オマケに兄は大学へ行っていてこれから先も長期不在。出来れば髪の毛の色が変わる前に出て行って欲しかったが、あのサディストが居なくなっただけでもありがたい……これ以上は贅沢だ。



 目の前の『半黒歴史ノート』を置くと、机の上で開かれていた数学のノートを閉じ、明日もまた慣れてきた……否、慣らされてきた境内の掃除を、早起きさせられてやらされるのかと溜息を吐いた。

 元より早起きと嫌々で心身ともにダメージがあるのに、断ったら物理的ダメージが増えるので、渋々従うしかない。何とも理不尽なことである。

 俺は自らにすら見なくても分かるぐらい、表情にアリアリと嫌悪の色を浮かべた。



 ……そして、次のノートに手を付けた、正にその瞬間だった。




「お兄にちゃあん?」
「……」


 かチャリ……とドアから音が聞こえ、猫撫で声を上げながら、妹である楓子(かえでこ)が入ってきたのは。


 こいつの今の俺の中での立ち位置は『アホウ』か『邪魔者』の一言に尽きる。
 昔はアレだけ癒しのオーラを振りまいていたと言うのに、時間の流れは残酷である。


 見た目は母親に似て美少女なのだが、そちらに全部栄養を吸い取られたか頭の中がとにかく残念だ。オマケに矢鱈とひっついてくる。
 それは例え、相手が美人の彼女だったとして
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ