第159話 黄承彦がやってくる 前編
[8/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
平の願いを叶えることはできません」
「蔡平は父親を殺すために蔡徳珪を裏切ったことを悔いるかもしれん」
「それは蔡平の問題です。私達に預かり知らぬことです。お互いに利があるなら、お互いを利用する。これに何の不都合はありましょうか?」
伊斗香は正宗のことを真っ直ぐ見た。正宗はしばし悩んだ素振りをしたが伊斗香に対して頷いた。
「伊斗香、蔡平に連絡をつけてくれ」
正宗は蔡平を使うことに迷いがあるようだったが伊斗香の提案に乗ることに決めたようだ。
「私は蔡平に連絡をつけるために一旦離脱させていただきます。少数の騎兵のみ引き連れるつもりですので、残りの兵をお任せしてもよろしいでしょうか」
「問題ない。急いで繋ぎをつけてくれ」
伊斗香が正宗に拱手し去ろうとすると近衛兵が足早にやってきたので伊斗香は立ち去るのを中断した。
「清河王、黄承彦と名乗る者が謁見を願いでおります」
近衛兵は正宗の足元まで駆け寄ると片膝を着き拱手し要件を話しはじめた。
「黄承彦だと?」
正宗は以外な人物の訪問に困惑した表情だった。彼はひとまず近衛に黄承彦を丁重に扱い待たせるうように命令し、朱里と桂花を彼の陣幕に呼ぶように下がらせた。
「伊斗香、蔡平の件は後回しだ。黄承彦と会うのは気が進まないが、彼女への対応を考えるために同席してくれるか?」
「畏まりました」
正宗達はひとまず彼用の陣幕に入ると、少し遅れて朱里と桂花が入ってきた。
朱里と桂花は正宗から黄承彦が訪ねてきていることを聞くと、二人とも驚いた表情をしていた。黄承彦の訪問はあまりに突然だったからだ。朱里は考えをまとめるために黙考した。
「正宗様、黄承彦殿にはお会いになるべきかと存じます」
朱里は考えがまとまったのか拱手して正宗に意見を述べた。
「会う気になれんな。代理で話を聞いておいてはもらえないか?」
正宗は黄承彦に会うことに気が乗らない様子だった。
正宗の知る歴史で黄承彦は河南郡出身の名士である。そして、彼女の妻は蔡一族の出身である。彼女には一人娘がおり、娘の名は黄碩という。彼女は醜女だが才媛であったが、その才覚に惚れた諸葛亮が妻に迎えたと記録に残っている。
正宗が黄承彦に会いたくない理由は彼女がこの世界でも蔡一族の者を夫として迎えているからである。蔡一族の村を壊滅させた時期に合わせて彼女が正宗を訪問した理由は夫の件しか思いつかない。
「豪族への手前会うべきに存じます。彼女は正宗様に礼を尽くしております。あれだけの兵糧を短期間に集めるには相場以上の金銭を使ったものと推察します。ここで礼を失する行為は流石にまずいと存じます」
朱里は正宗に再度黄承彦に会うように
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ