第四十三話
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お見舞いする。うめき声さえ出なかった。
「しかし、……まったくロクな大人になんないな、こいつら。どうせ親もロクでもない連中なんだろうな。そうは思わないか、……蛭町」
独りごちたあと、最後に残った蛭町を睨み付けた。
「フフフ、まったく、お前ほど懲りない奴はいないんじゃないのか? あれほど痛めつけてやったっていうのにまだ刃向かうっていうんだから。……まあ、それはそれで褒めてやってもいいとは思うけどね。お前がそれほどの気骨ある奴だって知らなかったよ。ある意味賞賛に値するんじゃないか」
軽く笑みを浮かべて、ゆっくりと蛭町へと歩いていく。
「とはいっても絶対に許してやらないけど、ね」
まともな神経をしていたらもう顔面蒼白、失禁、脱糞、悶絶ものの状態なのに、平然とした顔でこちらを見ている。
体を壁に預け、腕組みして薄ら笑いさえ浮かべている。
「ははは。許してもらえないと困ってしまうな。こいつらのやったことは軽い冗談なんだから。笑って許してやれば良かったんだよ、月人。それなのに馬鹿力でぶっ飛ばすから、こいつらまじ死んじゃうんじゃねえの? お前殺人までやっちゃったのか? まあどうでもいいけど」
まるで事態を飲み込めていないような台詞。
こいつ、恐怖でおかしくなったんじゃないか? とさえ思ってしまう。
「もうお前1人だけだぜ。どうする? 謝るか? それとも俺にぶっ飛ばされるか? 」
「どっちもいやだね。お前にぶっ飛ばされるのはもうごめんだし、それ以上にお前に謝るなんてあり得ないよ。人の女を横取りしたくせに、その女を見殺しにするようなくそったれなんかに謝るなんてね。ははっ」
最後の笑い方は、ミッキー○ウスの笑い声の物まねだった。
瞬間で臨界突破した。
俺は蛭町の顔のすぐそばの壁を思い切り殴った。激しい破壊音とともに、拳が手首の辺りまで壁にめり込み、壁材や埃が舞う。
「全く……乱暴だな、お前は。巨大な力を得たら直ぐに誰かに使いたくなるんだろうな。……まったくのガキだな」
瞬き一つせずに俺を直視してくる蛭町。その顔には現在の置かれた状況からはありえない余裕が浮かんでいる。
何がいったいどうしたっていうのか? 俺は拳を壁から引き抜きながら考えた。力の差は圧倒的なはず。それは奴も認識している。いや認識させてやった。なのに何を根拠にこれほどまでに余裕を持って構えていられるんだ?
この前の時は、泣いて助けを請うていた奴とは思えないほどの変貌ぶりに、少し圧倒される気がした。
圧倒? ……何に? 何か脅威があるのか? どうみたって何の変化もないごく普通の人間のナリをしているじゃないか。ボコボコにしたときの蛭町と何ら変わりない。……なのに何か違和感を感じるんだ。
これはどういうことだ??
「そいつ
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