第四十二話
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にとっては好ましいものと感じ取れるらしいんだろうか。
笑う事で奴らの中で何かが変わったようだ。
冷静な狂気を取り戻したように感じられる。
「俺たち、よにん。こいつは、ひっとり。まるごしまるごし」
と、突然、なにやら呪文めいた言葉を履き始める。
「yoyoyo」
リズムを取り足踏みしながら、各々が手にした武器を体の前で揺らせ始める。
「ころっせ。ころっせ。太もも突き刺せ! つっきさせ」
「目つぶし、目つぶし、右目をえぐり出せ」
「ケツノアナから串刺し串刺し」
「やきとりやきとり。塩味大好き大好き」
奇妙なリズムに合わせた不思議な踊り……。
俺の周りをグルグル回り出す。
どうやら幻惑することにより、攻撃の確率を上げるように思われる。……くだらない。
ふいにリズムと踊りが激しくなる。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。
目の前で立ち止まったリーダー格の男がニヤリと笑いながら、それほど早くないスピードで釘バットで俺を凪いできた。
ほぼ同時に四方から撃が始まったのを感じた。それも一斉に。
緩急をつけた多方面同時攻撃ってやつだ。巧いこと回避スペースを潰しているのがわかる。思った以上に連携されている。こいつら何度も実戦でシミュレートし、精度を上げていってるのがわかる。
相手が普通の人間だったら、少々武術の心得があったって、ほぼ間違いなく血だるまにされているだろう。
こんなくだらないことに能力を発揮せずに他のもっと役立つことをしろという思いが頭をよぎる。
残念ながら俺は人間という尺度で測れるレベルじゃないんだな。……よって彼らが編み出した攻撃もまったくの無意味。
俺は全ての攻撃の軌道を確認し、体をかがめたり反らしたりしながら、全てを回避した。すべてがハッキリと見える。あまりにも。
連中は攻撃が当たる前提で振り切ってきている。かわされたために空振り状態になり、大きく体勢を崩した。それぞれの顔に驚愕の表情が浮かんでいる。
俺は素早く体を捻りながら飛び上がり、右脚で凪ぐ。体は空中で駒のように回転する。
足先に衝撃が連続する。足が俺を取り囲んだ連中の体に激突した衝撃だ。
……旋風脚。
格闘ゲームの中でしか再現不可能な技だ。
4人の男は、はじき飛ばされるように四方にふっ飛ばされ、悲鳴を上げ激しく転びながら壁や障害物に衝突し転がっていく。
車にはねられたようなもんだから、恐らくは立ち上がることなどできないだろう。
あちこちで呻きと悲鳴と鳴き声と泣き声が起こっている。
ほんの一瞬前までの威勢は遥か彼方まで吹き飛ばされたはずだ。
情けない。
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