第四十二話
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刀男は悲鳴を上げて刀から手を離して逃げようとするが、勢いがついているので避けられない。
ハンマーを振り下ろす男は味方にハンマーが当たるのを防ごうと俺から手を離し、その腕で振り下ろす右腕を止めようとする。
ぶちん。
ゴン。
かろうじて左腕で軌道を逸らしたハンマーは床にたたきつけられ、火花を散らした。
その前に妙な、何かが切れるような音がしたけど。
「ほっほう。やるじゃないか」
俺はなんとかハンマーで味方の頭をたたきつぶすのを回避した男に向かって賞賛の言葉を唱えてあげた。仲間を守ろうという意識はあるんだな、こいつらでも。
「ち、ちくしょう。痛ぇ……痛えよぅ」
無理をしたのか、ハンマー男の右腕はだらりと垂れたままだ。どうやら関節でも外れたのかな? さっきの変な音はそれか?
日本刀を奪われた男はハンマー男を引っ張って背後に避難させる。そして腰に隠していたナイフを取りだした。
殺意満々のぎらついた眼で俺を睨む。
「糞う、なんだ、その眼は。カラーコンタクトを片方だけ入れて格好いいって思ってるのか? 馬鹿じゃね? 粋がってるんじゃねえよ」
そう言った男の声が尻すぼみに小さくなる。「な、な、眼が光っていやがる……。お前何なんだ? 」
え、そうなんだ。俺の目って光るんだ。
それほど明るくないこの地下室では、その光もはっきりと見えてしまうんだろう。
男の声は震えている。
「さあね。お前らには教えてやんないよ。どうせ教えてやったところで、理解なんてできないしね」
そう言うと日本刀を床に突き刺した。刀は30センチくらいは床にめり込んだ。
こんな連中相手に武器有りじゃあハンデがありすぎるからね。
「くそ、思ったよりこいつやばいぜ。一斉にやるぞ」
ナイフ男が怒鳴る。
リーダー格の長身が背後に回るのを感じた。
中学生くらいの二人は部屋の奥でのんびりと観戦を決め込んだようだ。 蛭町も二人の隣で壁にもたれ、偉そうに腕組みをしている。
「おい、お前らも来いやぁ」
とハンマー男(今は右腕を負傷中)ががなり立てる。
「大丈夫でしょ? 先輩達ならあんなの、俺たちが行かなくったって、楽勝でやれるっしょ」
ニタニタと気持ち悪い笑いを二人の中学生がする。二人とも歯並びが異常に悪く、薄汚く汚れている。妙に隙間がある感じで、嫌悪感を感じてしまう。
「やれやれだな、まったくお前らは性欲だけ一人前で他は全然役にたたねえな〜。立つのはあれだけかよ」
あきれたようにリーダーらしき男も笑う。釣られるように他の奴ら、必殺の突きを俺に止められた奴と右腕を痛めたハンマー男も吹き出す。
なんだかんだ言いながらもあのガキ2名は、連中の中では可愛がられているようだ。少々生意気な口を聞くのも仲間
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