第40話 暗闇の中を漂う君へ
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んたちが何とかするさ」
父さんは笑顔でそう言った。それを聞いた夫婦も
その言葉に励まされたのか表情が明るくなった。
「‥‥‥‥フフッ、そうね」
「年長者の俺たちがビビってたんじゃ話にならねぇな」
奥さんは軽く笑いながら、家の主である男は頭を掻きながら言った。
二人も、父さんも、自然という規格外の対象の前ではちっぽけで
その自然が俺たちに攻撃して来ているのだ。なす術はない。
しかし、それでも二人は、父さんは笑った。守るべき存在の為に。
「‥‥‥‥‥ジェーン、そろそろお腹すいたかい?」
クゥ‥‥‥
そう問われるのを待っていたかのようなタイミングで
俺の腹の虫は小さく鳴き声を上げた。
それを聞いた三人は笑い始めた。
俺は恥ずかしさに顔を赤くした。
「実はお父さんもお腹すいてるんだ」
父さんは頭に手を置いて照れながら言った。
遅れてみんなの腹の虫も鳴き始めた。
「ジェーンちゃんが心配で全然食ってなかったからな」
「もうすっかり冷めちゃったけど、まだまだ美味しいはずよ?」
話題はすっかり食べ物のことになってしまった。
お腹を空かせた俺の心は目の前にある美味しそうな昼食に強く魅かれた。
「ジェーン」
父さんに呼ばれて、俺は我を取り戻し顔を向けた。
そこには笑顔があった。久しく見る父さんの満面の笑みだった。
「食べようか」
父さんは俺にそう促した。
これを断る理由など、今の俺には存在しなかった。
「‥‥‥‥‥‥うん!」
俺は元気に相槌を打った。
そして、いただきますをして昼食を口に入れた。
今まで食べてきた物の中で一番美味しかった。
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