第40話 暗闇の中を漂う君へ
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心配して来たジェーンがケガをしたり
死んじゃったりしたら、それこそ大変な事だろう?」
そうだ、父さんの事ばかり心配してたけど
自分だってこの嵐に巻き込まれて死んでたかもしれないのだ。
「もっと沢山の人が悲しんでたかもしれない」
俺の友達、その家族、俺を知る人たちが今以上の悲しみを
突き付けられていたかもしれないのだ。
「ジェーンちゃん、俺のせいでもあるんだ」
家の主は俺に寄ってから言った。
「俺が君のお父さんを止めたんだからな。『食事でもどうだ』
なんて言ってな。まさか、この嵐の中ウチまで歩いて来るなんて
想像もしてなかったんだ。話を聞いた時には驚いたよ」
家の主も俺の頭に手をポンと置いた。
「よく生きてここまで来たな。えらいぞ」
そして、笑顔でこう言った。その間を抜けて
家の主の奥さんが俺の目にハンカチを当てた。
「本当にえらい子ね。でも、あんまり危険なことは次からしちゃダメよ。
あなたのお父さんも言ってたけど、私たちだって心配してたんだから」
「‥‥‥‥うん」
奥さんにそう言われた俺は小さく頷いた。
俺の涙を拭い終わると濡れたハンカチを
ポケットに仕舞った奥さんは両手を合わせた。
「じゃあ、改めてお昼にしましょう!」
「ずっと心配でほとんど食べてなかったもんな。
言われてみると、腹減って来たなぁ」
家の主は腹の虫が再び鳴き出さないうちに部屋へと向かって行った。
父さんは立ち上がると、手を俺の肩に置いて言った。
「さぁ、ジェーンも行こうか」
そして、手を離して部屋へと向かおうとする父さんの
服の裾を軽く掴んで引き止めた。
「お父さん‥‥‥‥‥‥」
「うん?どうしたんだい?」
父さんは笑顔で訊いて来た。俺は少し俯いて言った。
「‥‥‥‥‥‥‥ごめんなさい」
それを見た父さんは驚きを隠せていなかったが
すぐに笑顔になってこう言った。
「お父さんもごめんな。帰るのが遅くなって」
そして、俺の背中に手を当てて進むように促した。
「さぁ、行こう。奥さんの料理は結構おいしかったからね」
それを聞いた奥さんはピクリと反応を示し踵を返して
少し怒った顔で父さんに早足で歩み寄って来た。
「『結構』じゃなくて『とっても』じゃないんですか?」
奥さんは至近距離で父さんの顔を見上げながら訂正を迫った。
ささいな違いだが、その違いが奥さんの
料理人としてのプライドを刺激してしまったようだ。
「あ、そうですね。とってもおいしかったです」
父さんは若干焦った顔ですぐに訂正した。
「分かればいいんです」
そう言うと、また部屋へと向かって行った。
父さんは一息つくと、も
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