89VSロキ二戦目T
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クエルフによって強化されたグレイプニルは意思を持つかのようにフェンリルの身体に巻きつき、その動きを封じる。その様はまるで神封じの悪魔の鎖とでも言えるような様子だ。フェンリルはその鎖に対し、苦しそうな悲鳴を辺りに響かせる。
だが、だというのにロキは焦らずに不敵な笑みを浮かべる。
「フェンリルよりスペックは落ちるが、出し惜しみはできないようなのでな」
ロキの両サイドの空間が激しく歪み出した。
空間の歪みから、何かが新たに出てくる。
灰色の毛並み。鋭い爪。感情がこもらない双眸。
そして、大きく裂けた口!
「スコルッ! ハティッ!」
ロキの声に呼応するかのようにそれらは天に向って吼えた。
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
夜空の雲が晴れ、金色に輝く満月が姿を現す。
月の光に照らされて、二匹の巨大な獣……二匹のフェンリルが咆哮を上げた。
2匹の新たなフェンリルを従え、ロキが言う。
「ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて、フェンリルと交わらせた。その結果生まれたのがこの2匹だ。親よりも多少スペックは劣るが、牙は健在だ。十分に神、そして貴殿らも屠れるだろう」
ロキが二匹のフェンリルに指示を送りだす
「さあ、スコルとハティよ! 父を捕らえたのはあの者たちだ! その牙と爪で――」
ズバァァァァァァァァン
「――なっ!?」
叫ぼうとしていたロキが驚愕の声をあげる。
当然だ。轟音が鳴り響いたかと思えば、新たに出現した2匹のフェンリルの内、1匹が血だらけになって地面に沈んでいたんだ。誰だって驚く。
「スコル!?」
ロキは狼狽しながら傷ついたフェンリルに治癒魔法をかける。僕達は、治癒魔法をフェンリルにかけているロキを止めることも忘れて、無慈悲な攻撃を放ったであろう人物へ視線を集めた。
「話が長いです。神っていちいち長話しないと戦えないのですか?」
あの!アリサさん!?不意打ちはひどすぎませんか?
ロキは治療を終え、再びこちらを睨んで両手を広げた。
「先ほどは油断してしまったが、もう油断も容赦もしない! さあ、スコルとハティよ! その牙と爪で奴らを食い千切るがいいっ!」
ビュッ!
風を切る音と共に二匹の狼が僕達の方に向かってきた。
グレイプニルは親フェンリルのほうに使ったからもう無い!
「ふん、ただの犬ころが……本物の狼を見せてやるよ!」
「あっ、ヤマト、それだけは可哀想ですよ!」
「そうだよ!」
アリサさんとオレーシャさんがヤマトさんを必死に止めていた…ヤマトさん……どんなことをしよ
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