Vivid編
第一話〜『おはよう』〜
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のではない。
それを今受け止めてくれるべき“父親”が確かに目を覚ましているのだから。
「…………」
それを受け止めている当人は、あまり動かすことのできない自身の身体に不満を感じつつもヴィヴィオの髪を手櫛で優しく梳いていく。
寝起きということもあり、霞がかかっているような思考の中でその感触がライに帰ってきたことを実感させる。
少しずつ鮮明になり始める視界と思考。それらが外れていた歯車が噛み合うように意識の覚醒を促していく。
そんな中、視界の端で二つの光が瞬いた。視線だけを動かしそちらを見ると、棚の上に置かれた二つの根付――――ライのデバイスである蒼月とパラディンが発光しているのが見える。
無茶をしたせいか、腕の感覚が麻痺し始めたため、ライは一旦腕を止めると念話を行う為に思考の一部を自己の内面に埋没させる。
『――――二人共、機能と意識に問題は?』
『『全機能動作確認開始――――――終了。ハードとソフトに誤差発生、調整の必要有り。記憶領域の再現確認。記録領域に問題なし、取得データの確保完了』』
念話の感覚がこれまでの活動領域であったCの世界での感覚に近いものがあり、腕や口を動かすよりもこちらの方が楽に感じている辺り相当毒されていることに今のライは気づくことができなかった。
『『マスター、おはようございます』』
温度を感じさせない機械音声での報告が終わると、打って変わって人間味のある声が脳内に響く。それがどこか心地よく、自然と口元が緩むのを自覚した。
ライの脳内では今、やるべきこと、したいことなど様々な事が浮かんでくる。それは何かの水源のように湧き出してくるのだが、それを頭の隅に追いやり今はただヴィヴィオのから感じる温もりと心地よい重さを感じることに集中した。
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