第十五章 忘却の夢迷宮
第九話 身体は剣で出来ている
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前の、意思が溶けるような感覚。
次第に、視界も暗くなっていく。
もう―――何も見えない。
…………。
……―――死ぬのか?
このまま、何も出来ないまま……。
皆を、置き去りに―――何も為せないまま……。
暗い闇の奥へ、意思が、沈んでいく。
オレハ、死ヌノカ……。
死。
常人には一生に一度程度にしか経験のないだろうそれは、衛宮士郎にとってはそれほど珍しいものではなかった。
衛宮士郎にとって、“死”は身近なものであった。
“自分”が生まれた時も。
魔術での修行も。
初めての戦いも。
“正義の味方”になろうと、向かった先も……。
衛宮士郎の周りには、“死”で溢れていた。
だからだろうか、死を目前に恐怖を感じることはなかった。
ただ、悲しかった。
道半ばで倒れてしまうことが。
見守りたかった者が、自身の足で歩いていく姿を見ることが出来ないことが。
何より、救いを求めていた者を、救ってやれなかったことが……。
アア……オレハ、ナレナカッタ―――。
結局、正義ノ味方ニハ、ナレナカッタ……。
変ワラナイ……。
アノ頃カラ……オレハ何モ変ワッテイナイ。
誰モ彼モ死ンデイッタ黒イ太陽ノ下……。
助ケヲ求メル声ニ耳ヲ塞ギ、自分ノ命ノコトダケヲ考エ、タダ一人、炎ノ中ヲ歩キ続ケタ。
ソウシテ、生キ残ッタ。
ダカラ、決メタノダ。
死ンデシマッタ―――救エナカッタ―――殺シテシマッタ―――彼ラノ死ヲ無駄ニシナイタメ。
救オウト、決メタノダ。
誰モガ見捨テルヨウナ。
ドウシテモ溢レテシマウ。
選定カラ外レテシマッタ者タチ。
アノ、地獄ノ炎ノ中に放リ出サレタ彼ラノヨウナ者タチヲ救エルヨウナ者ニナロウト。
幸運ナ事ニ、目指ス背中ハアッタ。
彼ラト同ジヨウニ、選定カラ外レ、死ヌハズダッタ自分ヲ救ッテクレタ男ガイタ。
ソノ背中ヲ目指シタ。
ダカラ、夢ヲ継イダ。
ソノ結果ハ、更ナル選定ダッタ。
選ブモノガ、ナニカカラ、自分ニ変ワッタダケ。
ドウシテモ、救エナイ命ガアッタ……。
ソレヲ奪ワナケレバ、モット多クノ命ガ失ワレテシマウ。
ダカラ、殺シタ。
子供ヲ殺シタ。大人ヲ殺シタ。老人ヲ殺シタ。女ヲ殺シタ。男ヲ殺シタ。知人ヲ殺シタ。友人ヲ殺シタ。隣人ヲ殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺シタ。殺
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