第十五章 忘却の夢迷宮
第九話 身体は剣で出来ている
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―それでも、信じる……例え何があったとしても、わたしは、彼を最後まで信じる』
『……そう、でも、口では何とでも言えるわね』
『わたしはそんな―――』
『じゃあ、あいつが死にそうな目にあっても、信じ続けていられる?』
『え?』
『……何も出来ず、ただ、あいつが死んでいく様を見ていることしか出来なくても、それでも、あなたは信じていられる?』
『意味が、わからない……あなたは、何を言っているの……?』
『……ま、あなたの気持ちはわかるけど、こちらから言えることはそれだけよ。何があろうとあいつを“信じなさい”。その想いが本物なら、きっと届くから……』
『わたしが知りたいのはそんな自己満足な話じゃないっ! わたしはっ―――』
『話はここでおしまい』
『待って! わたしはまだ納得していないっ!!』
『私からのアドバイスはそれだけよ。納得できないって言うのなら、後は自分で考えなさい』
『……もう、いい』
『そう、なら、おやすみなさい』
『―――最後に、一つだけいい?』
『……なに?』
『あなたは、どうなの。信じているの……』
『愚問ね。年季が違うわよ年季が』
『……わたしは―――負けない』
『―――小娘が、十年早いわよ』
―――悲鳴が、喉奥で響く。
船を覆い尽くさんばかりの炎が上がる度に、逃げるように目を閉じてしまう。
一キロ以上離れているにも関わらず、船から炎が上がる度に全身が燃えるような熱風に焼かれる。
「―――っ、もう、駄目ッ!! シルフィードッ!! お願いっ! 行ってッ!! 彼を助けてッ!!」
「きゅ、きゅい〜……だ、駄目なのねおねえさま。これ以上近づいたら落ちてしまうのね。む、無理ね、無理なのね……ご、ごめんなさいおねえさま……」
「そんな、いや……お願い……こんなの……いや―――」
涙で歪む船へ手を伸ばす。今もまだ、彼は戦っている。自分たちを守るために、あの炎の中で戦っている。
わたしは、また、それを見ていることしかできない。
「お願い、シルフィードッ―――彼を、シロウを助けてッ!!」
「おねえさま……」
シルフィードの首に縋り付くタバサ。
硬い鱗越しにも感じられる己の主の腕に込もる力に、その想いの強さを感じたシルフィードだったが、悲しげに目を伏せると絞り出すように声を上げた。
「ごめんなさいおねえさま……でも、無理なのね……」
「っ―――!!」
「おねえさまっ!!?」
熱風が吹き荒れる中、杖を片手に立ち上がったタバサが魔法の詠唱を始めた事にシルフィ
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