第十五章 忘却の夢迷宮
第九話 身体は剣で出来ている
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『―――教えて』
『……唐突ね』
『わたしは……どうしたら、いい』
『部屋に入ってくるなりいきなりそれ? 全く、夜中に淑女の部屋に押しかけてくるなんて、あなたが男だったら今頃蜂の巣よ』
『わたしは、彼に、何ができる……』
『……話を聞かないわね、この子』
『あなたは、彼と長い付き合いだと聞いた。なら、教えて欲しい。わたしは、彼に何が出来るのか』
『そんなもの自分で考えなさい。人に聞くようなものじゃないでしょ。ふ、ぁ、あ……むぅ、もう夜も遅いし、早く寝なさい。夜ふかしはお肌の天敵よ』
『わたしは―――ッ……お願い、します……』
『……はぁ……全く、何で何時もこうなんのよ。ほらほら頭を上げなさい。女がそう簡単に頭を下げない。もう、仕方ないわね。で、何だって? あの馬鹿がどうしたって?』
『……何時も、わたしは助けられてばかり。彼の力になれたことなんてなかった。わたしの実力では、彼の足でまといにしかならない』
『そう思うのなら大人しくしていなさい』
『っ―――そんなこと』
『出来ないって? じゃあ何なのよ? そもそもあなたは何が知りたいの? 何ができるか聞いてるけど、自分の実力じゃあいつの力にはなれないことは自覚してるんでしょ。じゃあつ
まり、あなたは強くなりたいってこと?』
『違う、そうじゃないっ。ただ、ただわたしは……今のわたしでも、何か彼の力になれないか……』
『………………本当に最悪ね』
『それは―――っ、自分でも、分かって、いる……』
『何勘違いしてるのよ。もう、違うわよ。わたしが言っているのはあいつのことよ。全く、こ〜んないたいけで純粋な子を誑し込んじゃってまぁ……』
『誤魔化さないでっ、わたしは―――』
『別に良いんじゃないの?』
『え?』
『そう、ね。先達として一つ助言するとしたら―――信じてあげなさい』
『しん、じる……?』
『そう。信じる―――たったそれだけのこと。でも、それが何よりも難しい』
『何を……わたしは元から彼を信じて―――』
『―――何の罪もない子供を殺しても?』
『……え?』
『助けを求める人を見殺しにしたとしても?』
『な、にを、言って……?』
『……救いを求める人を、殺したとしても?』
『―――あなたはっ!! 何を言って―――』
『―――信じられる?』
『っ、ぁ……』
『それでも、あなたは最後まであいつを信じていられる? 最後まで、あいつの味方でいられる?』
『わた、しは……わたしは――
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