3部分:第三章
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第三章
「そうすればいいんだよ」
「運動ねえ」
「そう、君は一日に体重の半分を食べないと死ぬんだから」
このことはどうしてもでした。とにかくモグラはです。それだけ食べないと死んでしまいます。さっき実際に死に掛けています。
「だからそうしないとね」
「ううん、じゃあ」
「そう、まずは食べよう」
鼠はまた言いました。
「食べていいんだよ」
「痩せたくてもね」
「僕も確かに不用意なことを言ったよ」
最初のことを思い出しての言葉です。
「それはね」
「ああ、太ったって言葉だよね」
「それは不用意だったよ、御免ね」
このことは素直に謝る鼠でした。
「けれどそれでもね」
「それでも?」
「友達だから。君が変に痩せようとするとね」
それで言うのでした。
「心配だからね」
「だから言ってくれてるんだね」
「そういうことさ。じゃあ食べてね」
「うん」
「そうして痩せて」
こうモグラに話します。
「そうしてくれよ」
「わかったよ。それじゃあね」
「うん、それじゃあ」
「食べよう」
鼠は笑顔でモグラに言いました。
「そしてね」
「痩せようか」
「うん、そうしよう」
こうしてでした。モグラはまたダイエットをはじめました。そして今度のダイエットはです。ふらふらになって倒れることなく見事に痩せられたのです。
そのモグラに彼女ができました。彼はこのことを鼠に幸せな顔で話します。
「いやあ、よかったよかった」
「そうだね。よかったね」
「本当によかったよ」
こう言うのでした。
「痩せたお陰だよ」
「そうだね。けれどね」
「うん、よくわかったよ」
モグラは真面目な顔になって鼠に返します。
「下手に食べないダイエットはね」
「そう、死んじゃうよ」
「よくわかったよ、それはね」
「ダイエットは無理なくだよ」
また話す鼠でした。
「わかったね」
「よし、それじゃあね」
「これからも食べて痩せるよ」
こう話してでした。そのうえでそのスタイルを維持するモグラでした。そして彼は食べ続けます。そうしながらのことでありました。
モグラの苦労 完
2010・9・5
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