第32話 夜叉と死に損ない、世界を渡る
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
不知火と共に魔法陣が消え、この場に残っているのは老人とカミラと呼ばれた女のみ。老人はもうこの場に居ない不知火に答えた
「忘れはせんさ……『後で』があればの話だがな………さて、改めて久しいなカミラよ…」
老人の殺気に気付いておきながらカミラは恍けるように声を掛けた
「あらお師匠さま…まだ昔のことを根に持ってますの?」
「フン!あの時、貴様の本性を見抜けず、“エリクサー”…この国では“変若水”と呼ばれていたが、あの研究書を見せなければ、この国にこのような迷惑はかからなかったはずじゃ!師であるワシを裏切り、己が欲望のために多くの人々を犠牲にした挙句にこんな余所の国に変若水を持ち込んだ我が弟子よ…貴様の今までのその悪行、今度こそ、師であるこのワシが断ち切ってくれる!!」
老人の決死の覚悟を本物と感じ取ったのか冷や汗を流すカミラだったが、それでも自身の余裕を崩さず、彼女は懐から何かを取り出した
「ふふふっ…いくら年老いたお師匠さまでも、わたし如きが貴方に勝てるとは思ってませんわ」
「むっ!」
懐から何かを取り出したカミラは足元に落とした。すると彼女の足元に老人が出した魔法陣が展開された。老人はカミラが出した魔法陣の術式を瞬時に理解し、周囲の空間に魔法陣を展開し、炎や突風をカミラに向け、発射したがアッサリ避けられた
「逃げるかカミラっ!!」
「ええ。いくら私でも、あの伝説の名と血を受け継ぐお師匠さまに勝てるとはサラサラ思ってませんわ」
「お前の目的は一体何なのだ!!答えろカミラッ!!」
するとカミラはクスクスと不気味な笑み浮かべながら答えた
「ふふふっ…今も昔も、わたしの目的は『不老不死』……その為ならどれだけの犠牲が出ようと構いませんわ」
「まだそんな妄想を見続けているつもりだ…!」
「いいえお師匠さま…妄想ではなく我々はその方法を知らないだけ……私はその為に理解に必要な材料として わたしはあの“魔導書”を求めているのです…」
「魔導書……?…不老不死…っ!まさか!?」
カミラが発した単語に眉を顰める老人だったが彼女が何を指しているのかすぐに察し、声を荒げた。そんな老人の反応に満足したのかカミラは不気味に微笑んだ
「ええお師匠さま。恐らく貴方が思ってる通りの書物ですよ」
「馬鹿者!“あれ”は絶対に手を出してはならぬ禁忌の一つ!それに手を出せば滅びがあるのみだぞ!!」
「たとえお師匠さまと言えど、これだけは譲れません。では…」
そう言い残したカミラは足元に展開していた魔法陣と共に姿を消した。その場に残された老人は懐から携帯電話のようなもので誰かと連絡を取っていた
「ワシじゃ。スマン三代目、あ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ