暁 〜小説投稿サイト〜
モグラの苦労
2部分:第二章

[8]前話 [2]次話

第二章

 それで、です。その鼠に対して問います。
「何でここにいるの?」
「心配になって来てみたんだよ」
 だからだというのです。
「それでなんだ」
「心配って」
「はい、これ」
 鼠はここで一匹の大きなミミズを出してきました。
「これ食べて」
「えっ、けれど」
「君はこれを食べたら死ななくて済むよ」
「何でなの?」
「それは後で話すから」
 今そのことについて話そうとはしません。
「とにかくね。食べて」
「うん、それじゃあ」
 モグラはとにもかくにも鼠のその言葉に頷きました。死にそうな今の状況では彼のその言葉はまさに福音でした。それで、です。
 そうしてその差し出されたミミズを食べるとです。実際にモグラはかなり元気になりました。
 元気さを取り戻してです。モグラは鼠に対して言います。
「あのさ」
「何で死にそうになったかだよね」
「うん、それはどうしてなのかな」
「それは君がモグラだからなんだよ」
 それでだというのです。
「だからなんだよ」
「モグラだからって」
「モグラは一日で自分の体重の半分を食べないと駄目なんだよ」
「えっ、そうだったんだ」
「そうだよ。このことは知らなかったのかい?」
「うん、今はじめて聞いたよ」
 モグラは驚いた顔で鼠に対して答えます。
「そうだったんだ」
「そうだよ。だからあの時どうかなって言ったんだ」
「ううん、そうだったんだ」
「けれどこれでわかったよね」
「うん」
 鼠の今の言葉に素直に頷きます。
「死にそうになったしね。そうだったんだ」
「そうだよ。それでね」
「それで?」
「もう絶食は止めるよ」
 懲り懲りという顔です。
「もうね」
「そう、止めるんだ」
「流石に死んだら元も子もないじゃない」
 こう鼠に話します。
「ダイエットをして死んだらね」
「そうそう、ダイエットは格好よくなったりする為のものだしね」
「僕の場合は女の子にもてる為にね」
「女の子にもてる為に死にたい?」
「まさか」
 このことは笑って否定します。
「死んだら女の子にもてないじゃない」
「生きている女の子にはね」
「じゃあ何の意味もないよ」
 モグラはここでも笑って言います。
「それじゃあね」
「じゃあここはね」
「食べないと駄目なんだね」
「そう、絶対に駄目だよ」
 こう話す鼠でした。
「それだからね。ここはね」
「ここは?」6
「食べてそれでだよ」
 鼠はモグラに対して話します。
「それで痩せないとね」
「食べて痩せる?」
「そう、食べて痩せるんだよ」
 また鼠に話します。
「そうしようか」
「食べて痩せるって」
「運動をすればいいんだ」
 鼠が言うのはこれでした。

[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ