第27話
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背景には袁紹がいる。
大勢力と弱小な地方豪族、どちらに肩入れするかは明白であり、諸侯は袁術軍、もとい張勲の暴挙を文字通り黙認した。
「だから風が言ったではないですか、早めに手を打つべきだと」
「ちょっと風! 麗覇様がどんな気持ちで――」
「かまわぬ、風の言うとおり、問題を後回しにして来た我に責がある」
「れ、麗覇様……」
風の厳しい言葉を袁紹は正面から受け止める。
そもそも反袁紹派、かの派閥に対して何故袁紹は対策を講じる事無く放っていたのか。
これには袁紹の気質、そして自陣営と張勲に理由があった。
袁家から離れ出来た反袁紹派の殆どは、元々は袁家の縁者である。
重鎮達の親類、友、顔見知りたちで構成されていた。故に、彼等に対する強硬な手段は取らないでほしい――と直接懇請こんせいされたことも一度や二度ではない。
そして重鎮達は慈悲を乞うだけではなく、反袁紹派の縁者に幾度と無く文を出し、改心するように求めた。
そのかいあって、何人もの反袁紹派だった者達が此方の陣営に合流。袁紹に忠誠を誓っていた。
そして張勲、意外な事に彼女は善政を行っていた。
何故彼女が反袁紹派の懐柔を放棄したかは不明だが、張勲のおかげで荊州は潤い。反袁紹派の暴走を抑えていたことも事実である。
そして、上記の理由から袁紹は人の可能性を捨てきれず。人の本質は善だけでは無い事を理解しながらも――事が起きるまで問題を後回しにしてしまっていた。
「かの者達を、これ以上野放しには出来ん」
「では……」
「うむ、風!」
「はいはい。彼等を押さえ込む策は既にありますよ〜」
風は何処からとも無く紙の束を袁紹に差し出す。
「反袁紹派が荊州で犯してきた不正の数々。記載されているだけのコレでは証拠になりませんが、これを元に荊州で証拠を押さえることは可能です〜」
「……まるでこの事態を見越していたかのような対応、見事だ風」
以前から反袁紹派に厳しく対応する事を求めていた風。主の気質を良く理解し。彼が頷きえる策を準備していた。
袁紹の最大の憂いは反袁紹派と縁のある重鎮達である。彼等の心が痛むことを良しとしない袁紹は、余程の事が無い限り強攻策にでない事を知っていたため、まずは重鎮達を頷かせる事に着目した。
袁紹に集っている重鎮達は、基本的に主と同じく真っ直ぐな性格が多い。たとえ縁のある者たちとは言え、不正を犯した者を放ってはおけない。
反袁紹派の不正を暴き出し、重鎮達に説明する事で理解を得ることにしたのだ。
「桂花!」
「五日――いえ、三日で出立できるように取り計らいます」
「迅速に事をなす必要がある。頼むぞ桂花」
「ハッ!」
袁術を大勢力
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