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恋姫†袁紹♂伝
第27話
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声のみの舞台を余儀なくされていた。

 演奏無しでの公演に不安がっていた彼女等だが、もともと肉声だけで旅をして来たこともあり、たちどころに観客達を魅了。気が付けば、他の民衆達も元黄巾の男達のように歓声を上げていた。








『今日は最後まで聞いてくれてありがとー!』

『もう終わりだけど、近いうちにまた披露するからね♪』

『今日よりも素敵な舞台になることを約束します』

『うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉッッッッ!!』

 公演終了と同時に彼女達が発した言葉で、再び会場に大歓声が広がる。
 袁紹の近くに居た娘達が小さく悲鳴を上げたが無理も無い。最初と違い、観客全員による歓声は大地を揺るがすほど大きいのだ。多くの兵を従え、訓練や実践を指揮してきた桂花や風でも、この規模の歓声は聞いたことが無いだろう。
 その証拠に、桂花は可愛らしく首を縮こまらせ、普段おっとりしている風は目を見開いている。

「す、すごいのです……」

「黄巾達が熱狂してきたのも頷けるな」

「前代未聞ですが、戦場にて士気高揚のために歌ってもらうのも視野に入れましょう」

「……一応、耳栓を付けて待機させていた兵達によると、洗脳の類は確認されませんでした〜」

「ほほう、一抹の不安は消えましたかな?」

「うむ、やはり呪符による演奏が原因だったようだな」









 公演は終わり、各々が余韻に浸りながら帰宅する。袁紹はこのまま睡眠にありつけるものと思っていたが、部屋の扉が遠慮がちに叩かれ就寝はお預けとなった。
 ノック――この時代の大陸には存在しない作法だが、幸か不幸か、袁紹はたびたび誰かの着替えに出くわすことが多かったため。それを回避するために広めていた。

「入れ」

「失礼致します麗覇様。夜分遅くに申し訳ございません」

「風もいるですよ〜……残念そうですねお兄さん」

「そ、そんなことは無いぞぉ?」

 斗詩か猪々子の来訪を予想していたために、風の言葉で思わず目を泳がせる袁紹。
 普段であれば、桂花がそれを目敏く指摘するところだが、彼女の表情は硬い。何かを思案しているようだ。

「……火急な用件か?」

「いえ、明日でも良かったのですが――」

「なるべく早めに方針を聞いておきたいのですよ、策の準備がありますからね〜」

 そして語られたのは驚愕の内容。張勲が孫策達の手柄を横取りしたというものだった。
 『張角』の頸は孫呉の者達が諸侯の前で挙げている。しかし、それが朝廷の耳に入る前に張勲は頸を取り上げ献上、袁術軍の手柄にしてしまっていた。

 孫呉は、質はともかく勢力としては弱小である。それに比べ袁術。『袁』の字は伊達ではなく、兵も多い上にその
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