第27話
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
声のみの舞台を余儀なくされていた。
演奏無しでの公演に不安がっていた彼女等だが、もともと肉声だけで旅をして来たこともあり、たちどころに観客達を魅了。気が付けば、他の民衆達も元黄巾の男達のように歓声を上げていた。
『今日は最後まで聞いてくれてありがとー!』
『もう終わりだけど、近いうちにまた披露するからね♪』
『今日よりも素敵な舞台になることを約束します』
『うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉッッッッ!!』
公演終了と同時に彼女達が発した言葉で、再び会場に大歓声が広がる。
袁紹の近くに居た娘達が小さく悲鳴を上げたが無理も無い。最初と違い、観客全員による歓声は大地を揺るがすほど大きいのだ。多くの兵を従え、訓練や実践を指揮してきた桂花や風でも、この規模の歓声は聞いたことが無いだろう。
その証拠に、桂花は可愛らしく首を縮こまらせ、普段おっとりしている風は目を見開いている。
「す、すごいのです……」
「黄巾達が熱狂してきたのも頷けるな」
「前代未聞ですが、戦場にて士気高揚のために歌ってもらうのも視野に入れましょう」
「……一応、耳栓を付けて待機させていた兵達によると、洗脳の類は確認されませんでした〜」
「ほほう、一抹の不安は消えましたかな?」
「うむ、やはり呪符による演奏が原因だったようだな」
公演は終わり、各々が余韻に浸りながら帰宅する。袁紹はこのまま睡眠にありつけるものと思っていたが、部屋の扉が遠慮がちに叩かれ就寝はお預けとなった。
ノック――この時代の大陸には存在しない作法だが、幸か不幸か、袁紹はたびたび誰かの着替えに出くわすことが多かったため。それを回避するために広めていた。
「入れ」
「失礼致します麗覇様。夜分遅くに申し訳ございません」
「風もいるですよ〜……残念そうですねお兄さん」
「そ、そんなことは無いぞぉ?」
斗詩か猪々子の来訪を予想していたために、風の言葉で思わず目を泳がせる袁紹。
普段であれば、桂花がそれを目敏く指摘するところだが、彼女の表情は硬い。何かを思案しているようだ。
「……火急な用件か?」
「いえ、明日でも良かったのですが――」
「なるべく早めに方針を聞いておきたいのですよ、策の準備がありますからね〜」
そして語られたのは驚愕の内容。張勲が孫策達の手柄を横取りしたというものだった。
『張角』の頸は孫呉の者達が諸侯の前で挙げている。しかし、それが朝廷の耳に入る前に張勲は頸を取り上げ献上、袁術軍の手柄にしてしまっていた。
孫呉は、質はともかく勢力としては弱小である。それに比べ袁術。『袁』の字は伊達ではなく、兵も多い上にその
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ