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黒き刃は妖精と共に
【白竜編】 正体
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んたたち」

 一人見えていないらしいシャルルに手で静かにするよう促し僕――それと同じく見えているらしいウェンディちゃん――は先にあるものを見据える。三百メートルほど先、少しだけ開けた場所にある湖のような場所。そこにいる、真っ白な少女の姿を。
 白いワンピースに白い髪、十五歳くらいの少女。ウェンディちゃんが持ってきた情報どおりの姿だ。
 ササナキから離れたこのあたりの地面は相応に荒れていて、子供が一人で来るには違和感があり過ぎるし、あんな年頃で白髪を持つ人物などそうはいない。間違いなくドラゴンの横にいたという少女だろう。
 そして、なにより……

「おいおい、あの四足の白いやつ……まさか本当にドラゴンだって言うのか……」
「クライスさんにもそう見えますか? 私の見間違いなんかじゃないですよね!?」

 興奮からか、大き目の声で聞いてくるウェンディちゃんを咎める余裕は僕にも無かった。
 ワイバーンなどとは比べ物にならない巨大な体躯、折りたたんでいるがそれでも広げれば天を覆いつくせるであろう白銀の翼、そして辺りの木々より太い四つの足。
 紛れも無い、僕たちの想像するドラゴンそのものの姿だった。
 噂は本当だった。紛れも無い、僕が捜し求めた竜と言う存在が白い少女に付き添うようにたたずんでいる。
 ようやくだ……。

「はっ」
「……クライスさん?」

 ようやく、見つけた!

「二人とも、これを被ってここでまってろ」
「え……わっ!?」「ちょ……いきなりなにをっ」

 枝の上では流石に危険だろう、多少荒いとはいえ大地に降り立ち二人を下ろし黒霧を放る。
 腰の刀を帯から抜き取る。
 居合い加速用の魔道炸裂弾の装填されたマガジンを数個魔法空間からとりだし、一つを取り付ける。
 姿勢を低く。
 背後の少女たちのことなど、すでに意識の外。木々など眼中に無い、見据えるのは白いドラゴンまでの最短ルート……白い少女が視線と一直線になるように調整する。
 狙うのは一撃必殺。
 さっさとあのガキを無力化して、ドラゴンから話を……僕の記憶の手がかりを!

「フー……」

 深く息を吐き、脱力。左手の人差し指を|引き(トリガー)へ乗せ、引く。
 炸裂した魔道弾により鞘に付けられた打鉄が刀の(つば)を高速で打ち出す。【爆刀(ばっとう)】となずけた奥の手の一つが、刃の滅竜魔導師である僕の魔力と筋力そして魔道炸裂弾の爆発による音速を越える超高速抜刀が、眼前の木々をなぎ払う。
 一回目の居合いが終わり刀を鞘に戻した頃、ようやく竜がこちらに気づいた。
 だが、遅い。
 滅竜魔法【紋床(もんしょう)】。ま薄く圧縮した魔力の足場を空間に固定・炸裂させ、一歩で距離を詰める。
 二回目の居合い。
 流石に殺してしまっては
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