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黒き刃は妖精と共に
【白竜編】 正体
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の方を操っているかもしれない、って事ですね」

 これは昨晩も話したことだ。ドラゴンに云うことを聞かせられる存在がいるとすれば、それはドラゴンスレイヤーである可能性が高い。
 ドラゴンが操られていないのなら、操られているにせよ自分の意思にせよ、人間のほうに付け入る隙はあるだろう。

「容姿は白い長髪、白いぼろぼろのワンピース、ウェンディより少し年上くらい。特徴としては十分だな」
「ドラゴンと同じ色をしていたから覚えやすかったそうです。後、少し片言っぽかったとも言ってました」
「片言、ね。ドラゴンに育てられた僕らがこうして普通に話せてる以上少し不安になる点だが……」

 ウェンディちゃん曰くドラゴンは人間の一般常識から言語まであらゆることをしっかり教えてくれたらしい。記憶を失っているとはいえ、僕も常識や言語はしっかりと刻まれていた。
 知識が少なく身内を洗脳されるような力の弱いドラゴンなのか、それとも全部勘違いでドラゴンですらないのか。
 一番好ましいのは僕らの親代わりであるドラゴンの行方不明に詳しく話を聞かせてもらえることではあるが、贅沢は言わない。危険を(おか)す以上話ができなくても何も知らなくても前者、ドラゴンであることを願いたい。その存在を目にすることさえできればまた一つ希望が生まれるのだから。

「とりあえずその子を優先的に発見して無力化することを第一目標にするとして。地図に明記されているのは奪っている利益の受け取り場所、根城と受け取り場所は流石に分けているだろうし結構広範囲を探すことになりそうだ」
「そうですか……じゃあ、やっぱり私たちはここに残ったほうがいいですか?」
「……いや、できれば一緒に動いてもらいたい」
『え?』

 広範囲を動き回って敵を探す、それに自分では足手まといになるとおいていかれると思ったのだろうか、二人が意外そうな顔をする。
 僕自身、最初は二人にはここに残っていてもらおうと考えていた。
 まだ二人には見せたことがないが、僕の身体能力は滅竜魔導師としての魔法を使うことで人間の限界を遥かに超えることも可能になる。ウォードッグとの戦闘で見せた肉体硬化、膂力上昇などほんの一部だ。
 使いようによっては丸一日全力で走り続けることも可能な僕に、同じ滅竜魔導師とはいえ補助系に特化したウェンディちゃんや飛べるだけであるシャルルが付いてこれるわけがない。それに、ウェンディちゃんは軽傷とはいえ足を怪我しているためそれを庇う必要も出てくる。当然ついてくることなどできない。

「で、でも私……それにシャルルも戦うことは全然できませんし、付いていっても邪魔しちゃうんじゃ……」
「まぁね」
「ちょっと!」
「ごめんごめん。でも、だからこそここに残していって何かあったら対処できないだろ?」

 
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