プロローグ
第一話:少年は次の世を見やる。
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られなくなった俺は、酷い報復に会う事承知で彼が大事にしていたフィギュアを山に捨て、冷静さや狡猾さを失うよう誘導した。
結果は大当たりで、木に吊るされボコボコニ殴られはしたが、目立つ場所での犯行だから途中で親父が割り込んできて、逆に彼が一晩+αの時間ずっと吊るされる羽目となった。
父親である京平は俺の頭を撫でながら、大丈夫だったかと声を掛けてきた。
だが、何時も何時も理不尽に暴力を浴びせ、兄が行っている事を俺が言っても取り合おうとせず、こんな目立つ事態になるまで放置して置いた癖に今更何なのか……そんな感情しか、俺の中には生まれなかった。
幼馴染も幼馴染で問題だった。
理子と言う名の彼女は隠し事が大嫌いで、特に俺にだけは隠し事をされたくないらしく、曰くされるとむかつくらしい。
……だからなんなのか?
隠し事を自分はして置いて、此方は全部さらけ出せと理不尽を言い、駄目で有れば父親の如き暴力も厭わないのが、彼女をムカつかせた代償なのか?
ラブコメディーではよくヒロインに暴力を受け、それでも平然としてその子と話が出来る奴が大勢いる…………が、現実でそんな事をされれば、ただ単に腹が立つだけだ。
オマケに向こうの言い分は、俺の思考に自由は無いとでも言いたげ―――否、そう言っているに等しく、苛立たない奴がいたらその人は真の本物の聖人君子であるといえよう。
そして先にも言ったが、母親はそんな奴とも関係を作らせようとしてくる。ちょっとの隠し事も、更にそれが疚しくなくとも許さない女など、死んでも嫁に貰うのは御免だ。
論点や主題が途中からずれてしまったが……以上の様に今の母親と父親は俺にとっては受け入れ難く、前世はいなかった兄も幼馴染も全く嬉しくは無く、寧ろただ単にウザイだけの対象となっている。
……ただ、新たな両親が俺を愛していない訳ではなく、兄が何時も虐めばかりしている訳では無く、幼馴染が理不尽ばかりまき散らす訳ではないのも、また疑いようのない事実。
彼等から貰った物も、確かに存在するのだから。
それに二歳年下の妹も居る。無邪気な彼女の存在は、意外な程俺の安らぎとなっていた。
もし虐げられるだけで有れば、俺はとっくの昔に家出をしていることだろう。愛のある物理的な躾だと、分かるだけでもマシになるというものだ。
……だからといってその愛が理不尽を消せるかと言えば、±ゼロどころかマイナス方面に傾いており、彼等に対し心を開けるかはまた別なのだが。
前世の方がマシだったと思うぐらいだと、そう言えばどれだけ打ち消されているかも分かるだろう。
「……何時も思うのだがな、優子さんは何故こんな事を……」
「麟斗のラブコ
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