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モグラの苦労
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第一章

                       モグラの苦労
 モグラはある日。自分のお家に遊びに来ている鼠に言われました。
「なあモグラさん」
「何だい?」
「あんた最近太ったんじゃないかな」
 こうモグラに言ってきたのです。
「そうじゃないかな」
「えっ、太ったかな」
「うん、一回体重見てみたらいいよ」
「体重ねえ」
「君だって太り過ぎは嫌だろ?」
「勿論だよ」
 鼠の問いに迷うことなく答えます。
「太り過ぎたら女の子に嫌われるじゃないか」
「よくデブは嫌だっていう女の子いるからね」
「それはモグラでも同じなんだよ」
「そうだよね、やっぱり」
「だからだよ」
 モグラは必死の顔で鼠に対して話します。
「太るのは絶対に嫌だよ」
「じゃあどうするんだい?」
「決まってるさ、ダイエットだよ」
 モグラはその必死の顔で言いました。
「今からそれをするよ」
「今からなんだ」
「うん、じゃあ早速ね」
 モグラはまた鼠に対して話します。
「今日から食べる量を減らすよ」
「それで減量するんだね」
「うん、そうさ」
「それはわかったけれど」
 ところがです。鼠はここで腕を組んで難しい顔になります。二匹はお互いの家の間の通り道で向かい合って話しているのです。
「できるかな」
「できるさ」
「いやさ、君はモグラだけれど」
「モグラだから問題だっていうのかい?」
「ううん、それよりもさ」
 鼠はいぶかしむモグラに対して腕を組んだまま首を左に傾げさせてさらに言います。
「食べるものを考えたりとかさ。運動をしたりとか」
「いや、食べ過ぎるから太るんだろう?」
「それでもだよ。君はモグラだから」
「モグラだから何だっていうんだよ」
「それはどうなのかな」
 また言う鼠でした。
「だからそれはね」
「いや、僕はやるよ」
 しかしモグラはまだ言います。鼠にどうかと言われてそれでかえって意固地になっているという一面もそこにはありました。
「絶対にね」
「ううん、そこまで言うのなら」
「鼠君、応援していて」
 モグラは笑顔で鼠に対して告げます。右手を拳にして少し振ってさえいます。
「僕絶対に痩せて格好よくなるからね」
「じゃあ頑張ってね」
 こうしてモグラのダイエットがはじまりました。モグラは彼が言った通りに食べようとしません。しかしそうするとすぐにでした。
「あれっ?」
 何かです。身体の調子がおかしいのです。
「身体が思うように動かない。何でかな」
 自分でも不思議に思います。しかしです。
 それでも自分が決めたことだから。食べようとしません。彼はそれは貫こうとします。
 それでそのままいます。するとです。
 身体の調子がさらにおかしくなり余計に動かなくな
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