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この腐敗した都市の中で
それはある日突然に
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を叩き込んで沈めた。

「おはよう、無銘」

 隊長がそう言うと何とも言えぬオーラを放ちながらおはようと無銘さんは言った。

「おはようございます、無銘さん」

「む、少年。朝からこの二人を相手して疲れただろう。コーヒーでも飲むか?」

「あ、いただきます」

「微笑ましいお話の最中失礼するが……任務だ」

 突如現れたイーグルさんに驚くが、無銘さんがコーヒーを淹れる手を止め、イーグルさんの方へ黒帯を隔ててもわかる鋭い眼光を向けた。

「ポイントB-2にて殺人事件。殺人犯二人が現場から逃走。兄と妹の関係の様だ。妹の方は異能があるかも不明。だが兄の異能は若干だがわかっている。今回、兄の殺人を目撃した者曰く、攻撃が全て散らばって心臓を一突き―――――――なお、この電話をしている最中に悲鳴が聞こえたため、おそらく殺害されたと思われる」

「了解、行くぞ少年」

「え、でも誰が行くかはまだ……」

 隊長の方を見ると手を振っていた。行って来いという事らしい。

「りょ、了解しました……」

 そうして僕らは車で移動することになった。





「どうした、少年?落ち着きがないようだが」

 無銘はそわそわしている鉄平にそんな疑問を問いかけた。鉄平はひどくまじめな顔になって、こちらを見てくる。

「あの、無銘さん」

「なんだ?」

「貴方は正義の味方に付いてどう思いますか?」

ポイントの変わり目だからか景色が変わった。しかし、景色が変わったと同時に無銘の雰囲気も変わったことが鉄平にはわかった。

「……所詮、理想論だな」

「そう思いますか?」

「ああ、思うね。正義の味方とは悪を斃し、人類を救う者だ。だが全ての人類を悪を殺しながら救えると思うかね?もっとも、君のいう正義の味方が私のいう正義の味方であったならの話だが」

 鉄平は少し困った顔をして、昔のことを語り始めた。

「僕はね、無銘さん。実は正義の味方に会ったことがあるんですよ」

「ほう?それはどのような偽善者だったのかね?」

 皮肉げな口調だが、鉄平は笑って受け流して話を続けた。

「10年前、暴走したアンドロイドに妹と一緒に襲われまして……死にそうになった時、そこに正義の味方が現れて、僕たちを救ってくれたんです」

「……そうか」

 無銘はそう言うと車を止めた。視線の先には槍を持った上半身裸の男と、髪を伸ばした物静かな白髪の少女が立っている。

「無銘さん、あれって……!」

 慌てた様子の鉄平を横目に、無銘は笑っていた。

「あちらから来てくれて助かる。人もいないし……遠慮なく戦えそうだ」

 微笑した無銘は車内から出、後を追うように鉄平も車から降りた。

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