それはある日突然に
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後
やって来たと言うべきか。
『街』の喧騒が聞こえる中、ハサミを持った少女はジャキジャキと音を鳴らしながら目の前のそれを切り取り始める。
「ジョッキジョッキジョッキジョキ〜♪」
ただリズムに乗りながら、目の前のそれを解体する。
「楽しそうだね」
ハサミの少女は突如聞こえた『女』の声に耳を傾けた。彼女は人間に興味は無い。けれど今回は『楽しそうだね』と言った女の声が酷く魅力的に感じたから耳を傾けた。
「うん、楽しいさ。人はそれぞれ趣味を持っているだろう?私の趣味は解体して繊維の一本逃さずにそれを見る事。ただそれだけだよ」
「へぇ、それは変わった趣味をお持ちで。で……その解体しているのはなんだい?」
少女はニッコリと笑って解体しているそれから肌色の皮を引きはがした。
「人間に決まってるじゃん」
「……何を目的に?」
「死人を生き返らせる実験。でもねー、生き返らせちゃダメって他の人たちは言うんだよねー。なんでだろうね。なんでこんなに楽しくて面白い実験やめさせようとするんだろうね。あなたは知ってる?生き返らせちゃいけない理由」
女はしばらく口を閉ざした。やがて女は口を開いた。母親が子に質問に答えるように。少女に答えを教えるために。
「そうなると神様の諸行だからね。人間はその枠を出てはならない。そういうことだよ」
答えを聞いた少女は深い笑みを作り、女にこう返した。
「じゃあさー、人間でやるのがダメならその神様になっちゃえばいいんじゃないの?」
―――――――――――――――静寂が満ちた。時も満ちた。
一人、女は少女を唖然とした顔で見ると思い切り笑った。その笑いは、街の喧騒の中に呑まれていった―――――――。
「ふはは!はははははははははははは!!!その発想はなかった!でもね、あんな馬鹿げたアンドロイドでも!君が神になったとしても!!君は敗北するよ!何せこの町には――――――」
「『正義の味方』がいるからね!!」
この時、再び少女は。王である女しか名を知らなかったが、ネクロは。
女の顔がひどく美しく見えた。女が正義の味方と言った時の哀しいような形容できぬ、その表情。
もう一回見たい。そう思ったネクロは解体を辞めて鋏をくるくるとまわしながら立ち上った。
突然だが私は『街』の出身ではない。昔は『外』の住人だった。
これは私が歪になる原因となった日だ。
あの日は皆普通に生活していた。ただ平凡に時間が過ぎて行った。いつもと同じように夕飯を食べ、家族と談笑、母はいなかったが父と談笑して普通に眠りについた。
そう、未曾有の大地震が起きるまでは。
起きた時には父が私を庇って押
[8]前話 前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ