第3章 リーザス陥落
第42話 利用する者とされる者
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「まぁ……、彼女達の気持ちは解る。だが、通すべき筋を通してないからな」
「ですね……、私としても申し訳ないですが、リーザスの為なので」
かなみ自身も憧れると思う程の種を超えた純愛だ。
成就させてあげたいとも思えるが、自分には成さなければならない使命もあるんだ。
そして、そうしている間に。
「がははは! モンスター如きがオレ様に勝てるわけがないだろう! 頼みの相棒もま〜〜ったくお前に興味がなかったみたいだしな!」
「ランス様、大丈夫ですか? いたいのいたいのとんでけー!」
「うぅ……、な、なんで……神官様……」
戦闘には加わらず、ユーリ達と話をするクルックー。寧ろ、戦闘には目も呉れずに、ユーリの方へと素通りしていたのだ。その間にランスがあっという間に終わらせてしまったようだ。
「あらら、まぁ 純粋な神官様を騙した罰が当たったと思え」
「はい。そうですね」
クルックーも頷いた。騙されていたと判ったようだ。ユーリの言う事だから、とクルックーは直ぐに信じたのだ。……信頼している、と言う事がよく判る。
勿論クルックーは、表情には非常に出にくい。出たとしても、少し見たくらいでは判らない。彼女と長く付き合ってきた者しか判らないのだ。
「(………やっぱ、クルックーの奴。でも そこまで あからさまじゃないし……、まだ、わからん)」
トローチも、クルックーの表情から察した様だ。が、付き合いの長いこの白いのでも、判らない事がある為、相当なのである。
「……ぅぅ、ちくしょう。なんでなんだ。僕たちが一体何をしたと言うんだ」
「ランス様……」
「ふん。命だけは助けてやろう。これに懲りて人を愛することは止める事だな。怪物は怪物らしく、怪物と恋をしろ」
シィル自身もかなみと同じで憧れを持っていたからだろう。仕事で、リーザスの為とは言え複雑だったようだ。
「何をしたか? と言えば、騙された方に全く非が無いわけではないが、クルックーを騙して強引に式を挙げたこともそうだ、それに ローラの親御さんに大変心配をかけている事もそうだろ?」
「うう……、で、でも、ぼ、僕は所詮はモンスターなのに……ならどうしたら良いんだよっ」
「誠心誠意、自分の心を伝える事だ。お前たちの実力行使は必ず不幸を呼ぶ。君とローラは幸せかもしれないが、彼女をここまで育ててきた両親の身にもなってみろよ」
「………うぅ」
ウーは、がっくりと項垂れてしまった。
このリス、ウーは 純粋な心を持っていると、ユーリは思ってしまっていた。
少なくとも、下衆の様な人間は山ほど見てきたことがあるから、彼らに比べたら、いや、比べる事すら烏滸がましい。だけど、こればかりは最善の解決策が見当たらないのも事実なのだ。
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