第3章 リーザス陥落
第42話 利用する者とされる者
[17/19]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た。
「さて……あやつはそこまで考えておらんだろう。そうあっさりと手中入れられると思っているのか?」
ノスが思い浮かべるのはある男の姿……。そして、まるで嘲笑うかのように笑みも浮かべていた。
「我らはカオスさえ手中に入れば良い。が、サテラの事は私も気にしておこう。そして、サテラにはくれぐれも早まった真似はさせるな」
「はい……」
アイゼルは一礼をするとこの場から消え去った。
残っているのはノスのみ。
「カオス……」
ノスは、再び歩き始める。足音が、静かに、だが 重く響き渡る。
そして、その手が、廊下の華奢な柱にかかった。
「その、力……………!!」
ぐしゃりと、異音がして、削り取られた柱の破片が、石畳に舞い散っていた。
そして、邪悪な笑みとともに……地下深くへと消え去っていったのだった。
〜リーザス城・地下牢〜
牢獄。
本来はリーザスに仇なす者が入れられる筈の薄暗い牢獄である。……が、今は違っていた。響き渡るのは、何かが破裂したかのような激しい音。それは、一度ではなく、幾度となく、ビシィッ、バシィッ、と響き渡っていた。そして、その音が鳴るたびに……女のモノと思える悲鳴も絶え間なく聞こえてくる。
「うふふ……女王様? そろそろ話してくれてもいいんじゃないの?」
女王様と呼ぶが、決して敬っている訳ではない。彼女はただ、その美しい柔肌に鞭を打ち付け、数多くの痣を作り、拷問を楽しんでいるのだ。その場で鞭打ちの拷問を受けているのは、リーザス女王のリアと筆頭侍女のマリス。拷問をしているのはその係であるサヤと言う女だ。
「さぁ、聖剣と聖鎧を渡した人物の名前を答えなさい」
「ふふ……何度聞いても無駄よ」
「くすくす……それじゃあこれでも言いたくないのかしら?」
サヤはそう言うと、再び激しく鞭を打ち、そしてその音が鳴るたびにリアの白い身体が悲鳴を上げる。だが、決して心を折る事は無かった。
「ちっ……生意気にも知識のガードの魔法なんかかけて、《ラ》 何さんなのかしら? 貴女が頑なに黙ってるその男の名前は」
そう、知識のガードを施しているマリスとリアだったが、その魔法の綻びから、名前の一字だけは、読み取る事が出来たのだ。……が、それ以上は魔人の力をもってしても読み取る事は出来なかった。
当然だろう。魔人は圧倒的に人間よりも強いが、事技能に置いては、人間のほうが勝る事もある。マリスがかけた魔法を上回る解読の魔法を使える者がいないのだから。
「ふふふ……流石は一国の王女と言った所でしょうか。なかなかに美しき折れぬ心。どこかの、醜い男に見せてやりたいモノですね。……まぁ無意味だと思われますが」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ