第3章 リーザス陥落
第42話 利用する者とされる者
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下へと続く通路を歩きながら、ノスは嘲りの形に唇を歪めた。
「む……。アイゼルか?」
地下深くへと続く通路にいたのは2人。
先ほどパットンの後ろで控えていたノス、そしてもう1人は長身の金髪の美男子。
「はい。……ノス。戻りましたよ」
「首尾は」
「リーザス軍の中核はおよそ掌握しました。赤、そして黒でしたか。北部も、使徒達に扇動させています。同胞同士で潰しあっていただきましょう。」
「ふむ」
リーザス進行にわたり、ヘルマンに手を貸しているのは3人の魔人であり、この男こそ、サテラ、ノスに続く三人目の魔人アイゼルだ。
「ヘルマンと申す者どもは、そのまま南へ。自由都市やら言う国外へと進んでいるようですね」
「確かに、そんな事を言っていたな。リーザスには、まだちらちらと残党がいたのではなかったか?」
「主要都市は落とした、とのことで、そちらは抑えの軍に対処させるだとか」
「ふ……」
最後には、呆れたような嘲弄する響きが場を支配した。リーザス陥落は完全な奇襲。それも、ヘルマンの力等ではなく、その殆どが魔人の力によってだ。言ってみれば王都を騙し取ったに過ぎない。
国王夫妻は所在不明。
リーザスの将兵を壊滅させた訳でもない。なのに、更に進行すると、あの皇帝は言っているのだ。
「欲望と、戦の狂熱、か……我らの目的を覆い隠すには 都合がいい」
「醜い事ですが……、事を成しやすいのは認めざるを得ませんね」
呆れた表情を浮かべるのは、アイゼルも同じだった。彼は醜いものを何よりも嫌うからだ。それは、姿形ではなく、その有り方。姿勢、心。全てにおいてである。
「そろそろ動くか。我らが動き、努々気取られるな。仇敵ケイブリスめにも、主、ホーネット様にもだ」
「判ってますよ。人間を使っての諜り事。……本来ならば、ホーネット様はお許しにならないでしょう」
ここにいない主に、心ならずも不義理を働く事、それが少なからず、愁眉を寄せる。
「……無論だ。だが、あれさえ我が手中に入れば、ケイブリス派など問題にならぬ。……我らの天下だ。……アイゼル、お前は引き続きサテラと共に情報を集めろ。……鍵の在処をな」
「お任せを……。ただ、一つだけ懸念があります」
「なんだ?」
ノスは歩みを止める事無くアイゼルの言葉に耳を傾けた。
「……サテラの様子です。アイツには、鍵を探すようにいい、リア女王から断片的に取り出す事が出来た情報の元、捜索をさせていたのですが」
「……どうしたと言うのだ?」
「様子がおかしい、としか言えません。何処か上の空と言いますか」
「……アイツは表情に出易いからな。ふふ、想定外のイレギュラーも混ざっているのかもしれんな」
ノスは、何故だか笑みを浮かべてい
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