第3章 リーザス陥落
第42話 利用する者とされる者
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ただ2人に頭を下げているのだった。
〜リーザス城・ヘルマン軍司令部〜
そこはリーザス城内。
今でこそ、ヘルマン軍事司令部と銘打っているが、元はリーザス城の謁見の間であり、その鮮やかな装飾を施された玉座に座しているのはリーザスの女王であるリアではなく、青い髪の巨躯の男。
《パットン・ヘルマン》である。
「ふふふ……リーザス全土はもうほぼ我が第3軍が制圧に成功した。これもお前たち魔人の協力があったからこそだ。なぁ、ノスよ」
「……はっ」
ヘルマン人と言うのは、体格に恵まれており 特に男性は死ぬまで骨格から成長を続ける。
故に、パットン自身も巨躯だ。だが、それをも遥かに上回る巨大な姿をした男がひとり、パットンの背後に直立不動で立っている。
それこそが、ヘルマンに手を貸している魔人のうちの一角、《魔人ノス》である。
「お前たちの希望は、リア女王だけでいいのか? 褒美が欲しければ言うがいい。いくらでも出してやろう。ほれ、こいつもリーザス貴族の娘だが、なかなか悪くない」
無造作にその頭をつかみあげるパットン。少女は、ただただ苦痛に顔を歪める事しか出来なかった。
「それともこっちがいいか? 親を助命して欲しいらしくてな。足の指だろうと、尻の穴だろうと、どこでも舐めるぞ」
次に掴み上げられたのは、玉座の直ぐ隣に、裸で座して待っている少女。まだ、自分の順番じゃないから、と言う理由だけであり、運命は同じなのだ。……パットンが言う様に、親を救う為なのだから。
だが、ノスは表情を一切変えず、ただ一言だけ言う。
「いえ、せっかくですが……」
「ふ、欲のない奴だ。だがこれで私を馬鹿にした奴らを見返すことが出来るわ。これからは、このパットン様の時代よ」
高らかにそう宣言をするパットン。
元々は、子を為さぬまま正妃を失くしてしまったヘルマン王。妾との間に生まれたのがパットンだった。だが、彼の母はパットン生誕からわずか数ヶ月後に妾の地位のまま宮中の陰謀に葬られてしまったのだ。
それでも、彼の周りには心強い者たちに、……信頼できる者たちに囲まれていた。
皇子らしくはないが、人々に好かれる若者に成長をしていたパットンなのだが……、今は見る影もない。
彼を取り巻く環境が激変し……そして今に至っているのだ。
「ノス、お前たちもこのオレに尽くすがいい。ヘルマンとリーザス、自由都市まで、併合すれば、後はゼスとJAPANをたたきつぶして終わりだ。私が天下を取った折には、番裏の砦を少し下げて、魔人領を広げてやっても構わんのだぞ?」
「…………」
「どうしたというのだ? ノス。お前も楽しめ。これは勝者の当然の権利だ。わははは、中
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