第3章 リーザス陥落
第42話 利用する者とされる者
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うです……ね」
この人とそんな関係になればどんなに良い事だろうか……、かなみはユーリを、そしてシィルはランスを見て頬を赤く染めていた。
そしてその後、かなみは、ランスの方を向いた。
「でも驚いたわ。ランスにも優しいところがあったのね?」
そう言っていた。だが、ランスはいやらしい顔を崩さない。
「ふふ、当然だ……。ぐふふ……」
「あ……」
「ランス様ぁ……」
この先の展開が大体判ってきたようだった。ランスは、シィルを入口で待たせ、颯爽と中へと入っていった。
「さて……」
「ちょっとまった」
クルックーが、ここから 出ていこうとした時、ユーリは呼び止めた。
「何でしょう?」
「……さっき言っていたアイテムが見つかれば回収すると言っていたよな?」
「はい、勿論です。あのアイテムは バランスブレイカーとして、AL教で登録されてますので」
クルックーは淀み無くそう答えた。少し抜けている所があるものの、基本的に真面目な彼女だ。規則を捻じ曲げたりはしないだろう事はユーリにも判った。だから、ダメ元ではあるが、頼んでみる事にした。
「……無理を承知で頼みたい。もし アイツより先に、そのアイテムを見つけたら、1回だけ使用を許可して上げてくれないか? あのリスが、ウーが世界のバランスを崩すような真似はしないし、できないとも思える」
「……」
クルックーは考える仕草(多分)をした。
即効で返事をすると思っていたユーリだが、少し意外だったようだ。
「……そうですね。ユーリには、恩がありますし。 良いですよ。ただし」
「ああ、勿論その後は回収してくれて構わない。と言うか、バランスブレイカーになってるのに、するなと言うつもりは毛頭ないしな。それに、アイツがそのアイテムで妙な事をしようとするのなら、しようと考えていると判断したら、同上だ。全部クルックーの判断に任せるよ」
「はい、わかりました」
クルックーは、そう言うとユーリに向かって一礼をする。
ユーリはそれを手を振って答えていた。
「やっぱり優しいですね? ユーリさんは」
「あれだけ、純粋に想ってる姿を見てしまったからな。一応応援はしているつもりだ」
ユーリは、出て行った2人の方を見てそう言っていた。
かなみは、そんな彼を見て想う。
『……ここにも純粋に貴方を想ってる人がいます』と。
勿論、口に出して言える訳はないが、つまりはあれだ。他人の事は判っても自分のことは判らないと言う事。……どういう訳か、ユーリの場合はよりいっそう鈍い。自分に対する好意は、右から左へ。だ。
「あ、そう言えば……」
「ん?」
「なんでランスは、あの娘に何も興味を示さなかったんだろう……って
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