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優しい悪魔
2部分:第二章
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第二章

「三歩目の御願いは何かな」
「ええと、山田さんの奥さんも先生も幸せになれて」
「うん、美代子ちゃんのことなら何でも適えられるよ」
 にこにことして話すのでした。
「お金持ちになるのも。幸せになることもね。どんなことでもね」
「お金は特にいらないですしもう幸せですし」
 美代子はにこりと笑って返しました。
「いらないです」
「欲しいものも何でも手に入るよ」
「それもいいです」
「いいのかい」
「はい、それよりもですね」
 おじさんをじっと見てです。そして言った言葉は。
「最後の御願いですけれど」
「御願いだね。何かな」
「おじさんが幸せになりますように」
 美代子が言った言葉はこれでした。
「それでいいですか?」
「えっ、おじさんがかい」
「はい」
 おじさんをじっと見続けています。
「おじさんが幸せになって下さい」
「またどうしてそんな御願いをするんだい?」
 おじさんはきょとんとしてです。目をしばたかせて言うのでした。
「自分のじゃなくて」
「私は今で十分幸せですから」
「だからなのかい」
「はい、だからです」
 また言うのでした。
「ですからおじさんが」
「そうなのかい。いや、有り難う」
 おじさんはにこりと笑ってです。美代子に対して御礼を言いました。
 そしてステッキを振りました。けれどここでこう言ったのでした。
「おじさんじゃなくて美代子ちゃんがね」
「私がですか」
「うん、幸せになってね」
 そう言って振ったのです。
「これでね」
「おじさんは」
「ははは、おじさんはいいんだよ」
 おじさんは笑顔でした。明るい顔での言葉です。
「それよりも皆の幸せだけを御願いする美代子ちゃんが元気になってね」
「わかりました。それじゃあ私今よりも幸せになります」
「うん、そうなってね」
 こう話しました。そしてその時でした。
「みよちゃん」
「あっ、お母さん」
 扉の向こうからお母さんの声が聞こえてきました。
「お母さん。どうしたの?」
「おやつよ」
 お母さんがこう言ってきたのです。
「ケーキがあるわよ」
「ケーキ!?」
 ケーキと聞いてでした。美代子は物凄く明るい笑顔になりました。そうして言うのでした。
「じゃあすぐに行かないと」
「そうだね。行っておいで」
 おじさんもにこりとした笑顔で美代子に告げます。
「ケーキ。食べておいで」
「はい。おじさんも幸せになって下さいね」
 またこう言うのでした。
「絶対に」
「うん、なるよ」
 おじさんも笑顔で言葉を返します。
「じゃあ美代子ちゃんもね。幸せになってね」
「はいっ」
 満面の笑顔で応えてです。美代子は部屋から出ました。最後の挨拶も忘れません。
 そんな美代子を見
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