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ドリトル先生と森の狼達
第十二幕その六

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「難しくてね」
「時間もかかったね」
「そうだね、結局あれなんだ」
 先生は皆の言葉を聞いてから言いました。
「どんな動物でも、人でもね」
「守られるんだね」
「狼さんみたいに強い人達でも」
「そうしないとなのね」
「絶滅してしまうのね」
「そうだよ、あそこにいる狼君達は野生のままでいるけれど」
 このことはもう決まっています。
「けれどね」
「それでもなんだ」
「まだやることがあるのね」
「うん、彼等があそこまで減ったのは乱獲や生息地の減少よりも蚊だったね」
「ジステンバーね」
「あれのせいで数が減ったから」
「それの予防注射も検討されているよ」
 普通の犬達の様にというのです。
「そのこともね」
「何かね」
「色々としないといけないんでね」
「それこそね」
「本当に」
「そうだよ、結局本当にね」
 先生は皆にもこのことを言いました。
「人間が動物を絶滅させてそして守るんだ」
「矛盾してるね」
「同じ人間なのにね」
「絶滅させて守る」
「正反対ね」
「そうだね、正反対だね」
 まさにというのです。
「人間は善でも悪でもあるから」
「絶滅させてしまうのは悪いこと」
「そして守ることはいいこと」
「人間は両方をする」
「そうしたものなんだね」
「そうなるね、いや本当にね」
 それこそとも言う先生でした。
「矛盾するね、ただそれが人間だね」
「矛盾しても」
「それでも」
「善でもあり悪でもある」
「それが人間なんだね」
 ここでもしみじみとした口調で言う先生でした。
「本当にそうだと言い切れないね」
「先生性悪論じゃないしね」
 王子が先生にここで尋ねました。
「別に」
「うん、自分でもそう思うよ」
 先生はロシア風の紅茶を飲みつつ王子に答えました。
「僕は性悪論じゃないよ」
「そうだね」
「どっちかというと性善説かな」
「そうだよね」
「完全にそうだとは言わないけれど」
「どっちかというとだね」
「そうだと思うけれど」 
 それでもというのです。
「少なくとも僕は性悪論じゃないよ」
「そうだよね、けれど」
「うん、人は最初は真っ白でね」
 生まれたその時はというのです。
「完全な中立ニュートラルでね」
「そこから色々と知ってですね」
 トミーも先生に言います。
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