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路地裏
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第一章

                        路地裏
 明人と春音はこの日お家の前でけん玉で遊んでいました。お母さんにお家の中でしたら危ないからと言われたからです。
 その遊んでいる中で、です。不意に春音が言ってきました。
「ねえお兄ちゃん」
「どうしたの?」
「けん玉飽きない?」
 それに飽きたというのです。
「もうね。飽きない?」
「そうだね。言われてみればね」
 明人も妹の言葉に頷きました。
「ずっとしているから」
「どうしようかしら、それじゃあ」
「お家の中で遊ぶ?」
 明人はまずこう提案しました。
「ゲームでもして」
「今面白いゲームないよ」
 けれど春音は困った顔で言いました。
「全部クリアしたじゃない」
「そういえばそうか」
「オセロとかトランプもあるけれど」
「じゃあ今はそれする?」
「それも嫌」
 首を横に振っての言葉でした。
「何か嫌」
「嫌なの」
「うん、嫌」
 何度も言って拒む春音でした。
「他のことしない?何か」
「他のことって言われても」
「ホッピングとか。フラフープとか」
 幼稚園でやっているその遊びを言っていく春音でした。
「そんなのない?それで遊ばない?」
「そういうのは幼稚園に行かないとないよ」
「ないの?」
「お家にはないよ」
 こう妹に話します。
「残念だけれどね」
「そうなの。幼稚園に行かないとないの」
「幼稚園に行く?じゃあ」
「ううん、いい」
 それはいいと返す春音でした。また首を横に振って言うのでした。
「それはいいから」
「そうなんだ」
「とにかく何かして遊ぼう」
「何かって」
「どっか行く?公園?」
 そしてです。春音は公園に行こうと言ってきました。
「公園に行く?どうする?」
「公園かあ」
「うん、皆もいるし」
 また言う春音でした。
「どうするの?それで」
「そうだね。じゃあ公園に行こう」
 明人もその言葉に頷きました。
「今からね」
「ええ、それじゃあ」
「ただね」
 ここでまた言う明人でした。
普通に行っても面白くないよね」
「そうね、確かにね」
「普段通る道とは別の道に行こう」
「別の道?」
「そう、別の道を通ろう」
 こう言うのです。
「それでどうかな」
「わかったわ」
 春音はお兄さんの言葉ににこりと笑って頷きました。
「それならね。今からね」
「行こう。それじゃあね」
「うん、じゃあ」
 こうして二人は公園にいつもとは違う道で向かうことになりました。その道は。
 路地裏でした。普段の大きな道とは違う道です。そこに入ったのです。
 左右に家が並んでその家の壁に左右が囲まれた狭い道です。舗装されてはいますけれど何か薄暗い感じがして小石も
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