流転
座して微笑う串刺し公V
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「そうだな、目的を知る儂からすればそうとれる」
さて、とヴラドは咲いていた花を一輪むしると私へと差し出した。
「なにも知らぬ主に答えを教える訳にはいかぬが、ささやかな手助けはできる」
ヴラドの差し出したそれは、先がほんのりと桃色に染まった白い花弁をもち素朴な綺麗さあるが、他の花と比べお世辞にも華やかとはいえないものだった。
これは―――?
「ホワイトクローバーという。まぁ、ヒントといったところじゃ」
正直、植物に興味の無い私にとってこのような物を渡されてもその意味は全く分からなかった。
しかし、私がそれを返そうとすると彼は持っておけと突き返す。
「主は、中々に危うい存在のようだ。今の主には己というものが無く、扱いやいすがそれ故に主の本分である人の道を誤ったとしても流され最悪の事態を招く結果となりえる」
ヴラドは私に忠告しているのだろうか?
異端者であるその身で、人間であるこの私に。
「思考を怠るな。常に己の是非を考えよ。あの小娘が間違った道を行こうとしたときは、場合によっては斬る覚悟を持つことじゃ」
そういう可能性があるということですか―――。
「いかなる者も間違いは犯す。たとえ正しい道を歩むように見えても、それは最悪の結末へと続く道へのほんの一部かもしれぬからのう」
分からなかった。
彼は彼女の目的も、恐らくはその先にある未来すら見えているのだろう。
ならば、それを自分で止めることもできるはず。
それなのに、なぜ彼は私へとそれを託すのか。
彼らと比べ、力の無い人間の私に。
「時間をとらせたな。今は休み、身体を癒すが良い」
しかし、彼はその言葉の後、それ以上はなにも語ることは無かった。
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