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逆さの砂時計
向かう先は
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の一族の末裔で、『空間』を司る女神です。貴女は?」
「フィレスと申します。実はよく解ってないのですが、もしよろしければ、状況整理にご協力いただけませんか?」
「ええ。私が知る限りを、すべてお話します。ですからどうか、貴女の力をお貸しください、フィレス様」
「私にできることであれば」

 フィレスは、これまでの経緯をマリアに語る。
 それを受けたマリアも、自分のこと、アリアのこと、レゾネクトのこと、神々のことなど、あらゆる情報を開示した。
 結果フィレスが知った世界は、想像以上に現実離れしていて。
 ただでさえ混乱気味の脳内を、更に掻き回してくれた。

 人間の常識は一旦忘れろ、と言った師範の判断は、やはり正しかった。
 『人間としての自分』に固執していると、とてもじゃないが、感情処理が追いつかない。

「つまり、私の部屋に現れた女性は『結晶』に姿を変えた貴女自身であり、夢の中で泣いていたのも、やはり貴女自身であると」
「ええ。あの『結晶』は時間を操る力がわずかに残っていた彼の眼球を元に『空間』の力でマリアの意志の欠片を固定させた『鍵』。この私も、二人の血液を混ぜて作った時空に意志の欠片を固定した『扉』。現界に名残は無いけれど、この場所には、彼と私の血液が染み込んでいたのです」
「それを、私が実体化させてしまった?」
「私自身は可視可触化しただけで変質したわけではないから『扉』としての機能は果たせます。この場所でなければ、神々が眠る世界へは繋げられないけれど……アリアがレゾネクトの元に居るのだとしたら、『鍵』は回収したほうが良いかも知れません。アリアを通したレゾネクトが、何をしでかすか分からない」

 気になるのは、アリアの力を使っていたレゾネクトと。
 レゾネクトからフィレスを逃がしたアリア。

 魔王であるレゾネクトに、アリアの力が使える筈はない。
 それを可能にできるとしたら、悪魔としての契約だろう。
 レゾネクトとアリアは、なんらかの契約を交わしている。

 だが、アリアは自身の意思でフィレスを逃したように見えた。
 アリアの意思を奪う内容ではないのか、それとも、契約が未完なのか。

 事情を知ったフィレスとマリアは、二人揃ってそれは後者だと確信する。
 内容までは分からないが、彼の目的からしてレゾネクトはアリアを確実に手に入れる為の契約を持ちかけた筈だ。
 であるなら、アリアが自由意思で動いている間は、まだ助けられる。

「契約を完遂してしまう前に私達で『鍵』を回収し、アリアとレゾネクトを引き離します。急がなくては。きっと、アリアは何も知らない」
「アリアの許へは移動できないのですか?」

 フィレスの言葉に、マリアは目蓋を伏せて、しばらく沈黙する。

「……やっぱりダメ。今の
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