第3章 リーザス陥落
第41話 心の強さ
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…だが、実際に死を間際にした者は、その覚悟を折られる事も多い。
ましてや、相手は絶対的な力の差がある魔人であり、ある意味では死よりも恐ろしい体験をしたんだ。冒険者としての覚悟を、心の全てを折られたとしても不思議ではなく、彼女を情けないと責める者など誰もいやしないだろう。
「それと、お前らにラークから1000GOLD預かっている。迷惑金だそうだ」
「ふん、端金だな、全てが中途半端だからそんな目にあうのだ」
「ちょっと、ランス……いい加減にしなさいよ」
最初は黙って聞いていたかなみだが、幾らなんでもランスの馬鹿にするような口調と言葉、態度に我慢の限界が来たようだ。だからこそ、ランスを睨みつける。そして、更に言おうとしたかなみだが、それよりも早くにランスが言っていた。
「あの武具を買い戻す金にもならん中途半端な金だから、それはノアさんの入院費にでも充ててやれ。オレ様には不要だ」
「……はは。右に同じだ」
「真似をするんじゃない、後出しは格好悪いぞ」
「そんなつもりは無い。……が、お前ならそう言うと思ってただけだ」
ユーリはそう言うと笑った。その言葉を聞いたシィルは笑顔でランスに駆け寄る。かなみは、ランスの言葉に驚いていたようだ。
「……少しだけ、見直しました。ランスの事を。……アイツもあんな風にいえるんですね」
「まぁ、ランスの場合条件付だがな」
「条件?」
かなみがユーリにそれを聞いた時、ランスとシィルの会話が聞こえてくる。
「ランス様っ、お優しいですね!」
「当然だ! オレ様は正義の味方だからな。……ぐふふ、これでノアさんに……ぐふふ」
その会話を聞いたかなみは呆れてしまっていた。さっきまで見直したと言っていたのだが……。
「こんな感じだ。慣れてきたか?」
「……やっぱり、慣れたくないです」
かなみは改めてそう言っていた。
それを聞くと、ユーリは苦笑いをしてランス達に続いていく。
「伝言は確かに受け取った。彼女には伝えておくよ」
「ああ、頼んだ。後ユーリ」
「ん?」
キースは、ニヤリと笑って言う。
「ラークは帰ってくるとさ。最後にアイツの独り言をハイニが聞いたみたいでな? 必ず強くなって、戻ってくる。そう言っていたよ」
「そうか。戻ってきたら、とりあえず、チョップはしておくよ。遅ければ遅い程、威力が増すチョップを」
ユーリはそう言って笑っていた。
ノアにメッセージを残すくらいなら自分の口で言えというものだ。長く共に冒険をしてきたパートナーなのだから。気持ちは判らなくもないが、とりあえずは。
「はは、お前らしいやり方で迎えてやってくれ。オレとしても戻ってきてくれるのは大歓迎だからな」
キースはそう言いながら机を叩
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