第3章 リーザス陥落
第41話 心の強さ
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4人はキースギルドへと顔を出していた。ことの経緯を説明する為にだ。……まさか、あの2人がやられてしまっている事など夢にも思って無かったキースはまだ驚愕の表情をしていた。ランスが言うのなら兎も角、ユーリが言う以上は間違いない。それに、傷ついた2人を見ているから。
「まさか、ラークとノアがやられるとは、な……」
「所詮、ラークなど2流の戦士だ。オレ様と張り合おうなんて2億年早い! って事だ!」
「アイツ等の相手は魔人だった。……いくらあの2人でも 無理だ」
「だろうな。事の顛末はラークから聞いたよ。それでも、オレぁ あの2人には長く仕事をしてもらってたからな。まだ受け止め切れてねえ部分があるみたいなんだよ」
キースはそう答えていた。どうやら、ラークとは話をしているようだ。
「まぁ これで今回の仕事はお前らの物だ。絶対に成功させてくれよ」
「がはは! 軽いもんだ」
「あの、キースさん。お2人の事は聞いているのですか?」
「病院の話は勿論耳に入ってる。2人は無事だ。ただラークがな」
「どうかしたのか?」
ユーリは、キースの言葉に気になってそう聞く。
今日病院へと顔を出すつもりだったが、この言い方だとラークに何かがあったと思えるのだ。
「なんでも修行の旅に出ると言っていたんだ。ノアの方は病院で養生している」
「そうか」
「ああ、ユーリに伝言を預かってるぜ?」
「何?」
キースはそう言うと、普段からはあまり見られない真剣な表情になっていた。
「『助けてくれた事には感謝する。だが、オレはオレを許せそうに無いんだ。だからこそ 修行の旅に出る。黙って行く事を許して欲しい』だそうだ」
「……ノアは、アイツは どうするんだよ。ラーク」
「随分と責任を感じてたようだ。彼女の事も言っていたよ。そうだ、ユーリ。オレ達は病院に行くのにまだ時間がかかりそうだから、彼女への伝言を預かってくれないか?」
「……ああ」
ユーリは静かに頷いた。
キースは軽く葉巻をふかせた後……煙と出すと共に話を始めた。
「『今回の件、全てオレが弱いせいだ。オレが弱いから守れず、……傷つけてすまない。君は平穏に暮らしてくれ。オレが望むのはそれだけだ』だとよ」
「……随分と勝手な判断だな。あの時、ノアは命を掛けてラークを庇ったんだぞ。自分の命よりも、ラークを選んだんだ。……そんな 彼女の気持ちを無碍にするつもりか」
「いや、ノアが戦えない事を察したんだろうさ」
「………」
ユーリは何も言わずに黙った。
そう、彼女の事も深刻だといえばそうだ。
彼女がもう戦えないというのは、ユーリも察しがついていたのだ。戦いに身を置く者は大小問わずに必ず覚悟をするものだ。冒険の過程で命を落とすかもしれない覚悟を。…
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