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アイドレスト!
ステージ1 ひよっこ、世にはばかる!
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抜けた風船のようだった。
「こ、これはぁ、棄権かぁ?」
 金剛は舞菜のその姿を見ると、踵を返して帰り始めた。
「では、次のアイドルに……」
「諦めるんじゃないワン!」
 重い空気を破ったのは、何者かの声だった。
 その声に、舞菜はハッとなる。
(……私の馬鹿!馬鹿馬鹿馬鹿!半周回って天才!)
 舞菜は自らを奮い立たせる為に、自分の頬をパンパンと叩いた。
「私、やれます!」
 舞菜は高らかに宣言した。
「おぉーっとぉ!舞菜!復活だぁあああぁぁあああ!!」
「そんな……!」
 久夜が、信じられないものを見る目で舞台を見た。
「……」
 金剛が、舞台の方に振り向く。
(私が諦めちゃいけないんだ。私が投げ出したら、みんな死んじゃう。私が絶対に……)
 舞菜は息を深く吸った。
「救ってみせる!」
 ピィィン!
 すると、舞菜の目の前で、小さな何かが光りだした。
「その勇気、優しさ、やっぱり……」
 舞菜の目の前にあるものが何かなんて分からない。だが舞菜は躊躇いなくそれを掴み、唱える。
「セイバーチェンジ!」
 舞菜の周囲にピンク色のスーツが現れ、舞菜の服は一瞬でそれに変わる。
「こころとからだ、にんげんのぜんぶ、セイバーピンク!」
「おぉぉおおぉおおおっとぉおおおおお!舞菜が、セイバーピンクに変身したぁあぁぁあぁああああぁぁああああ!!」
 観客が騒然となる。絶望の雲に、一筋の穴が空いた。
 舞菜は、圧倒的な身体能力を以て、大量のゆでたまごを宙に飛ばした。
「バンデージウィップ!」
 シパパパパパパパ
 そしてそれを全て武器で裂く。
 大量に地面に落ちたゆでたまごは、それぞれがおしゃれなぎざぎざ模様で2つに割れていた。黄身は半熟だ。
 ワァァァァァ!
 観客達が、歓声で湧いた。
「才能が……、孵化しただと…………!?」
 金剛は、目を見開いた。
「優勝は、二ノ風 舞菜だぁああぁぁぁあぁあああああああぁぁぁぁぁああぁああああ!!!!」
 亡者の空気を振り払い、歓声を巻き起こした舞菜の優勝は、誰も疑わなかった。
「やったあああああああああああ!!」
 舞菜が喝采を上げると観客も、他のアイドル達も惜しみない拍手を送った。
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