暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
脈打つ悪意
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然ながらそれに応える者はいない。

混乱する少女の眼前で、最後の十秒が過ぎた端末は全プレイヤーの現在位置情報をリセットした。

まっさらなマップは、果てしない疑念を呼び起こす。

「――――くッ!」

見間違い?

点滅していたから?または残り十秒だからと焦っていた?

どれも違う。はっきりと見た。

リラは再び端末を食い入るように見た。レンはありえないほどの速度で真っ直ぐ南部の山岳エリアから北上していた。さらに西の草原エリアにいたユウキも、猛スピードで真っ直ぐ東へと向かっていた。

両者の進路上には、件の廃都が待ち構えている。これは偶然なのだろうか。

いや、それとも――――

「廃都に……何かがあるの?」

確証はない。

だが、あの二人に会った時から漠然と感じていたこと。

この二人は、ただ単純にこのGGO(ゲーム)を楽しむために降り立ったのではない。もっと他の、確固たる別の目的があってやって来たのだ、と。

その答えが、廃都にある。

そっちの方はあまり見なかったのだが、確か都市の中央部に一人だけプレイヤーがいた気がする。

―――それか。

ぐっと奥歯を噛みしめ、ポーチを肩にかけ直し、手中にて沈黙を保つ愛銃(ブルーパー)を握り直す。

「……行くわよ」

少女の進軍が開始された。

誰のためでもない。ただ、自分《達》のもう一つの現実を守ろうとするために。
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