暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
脈打つ悪意
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リラは愛銃である《ブルーパー》の引き金(トリガー)を引き絞った。

ボン、という銃器にはあまり似つかわしくない軽い発射音とともに、銃身が反動(リコイルショック)に押されて跳ね上がる。火竜の息吹のような発射炎に押し出されるように吐き出された40mmグレネード弾は、油断していた一瞬をついて近づいていた巨漢の分厚いプレートアーマーに着弾した。

瞬間、起動した信管が炸裂し、内包した炸薬――――コンポジションBを爆裂させた。発生した爆風は硬い弾殻をいとも容易く破砕し、周囲に破壊の嵐を巻き起こす。

身体のあちこちに真紅のダメージ痕を残すこととなった、前大会の本戦にも出た古株は悔しげな負け惜しみのような呟きを残して前のめりにどうっと倒れた。

完全に停止した男のいかつい頭の上に赤い立体文字で【DEAD】の文字が回りながら現れたのを見、少女はようやく額に浮かんでいた珠のような汗を拭った。

次いで、僅かに顔をしかめて上げた二の腕に視線を落とす。安全最低圏を下回っていたせいか、破砕した弾殻の一片が突き刺さっていた。シャー芯のケースくらいの鋭い断片を引っこ抜き、適当に脇に放り投げる。

「チッ、こんなこともあろうかと後ろに対人地雷埋めといたのに……」

結局炸裂することのなかった地雷を記憶を頼りに慎重に掘り返し、出てきた手のひらサイズの平べったい円形の物体の側端に取り付けられている出っ張りを回した。赤色になっていたランプが緑に変わり、無事に安全装置(セーフティ)がかかったことを知らせる。

それをポーチにしまい、リラはぐるりと首を巡らせた。

リラがいるのは、孤島の東南東。田園エリアに出るギリギリの森林エリアだった。見晴らしのいい田園風景の中をのこのこ横切ってきたアホを吹っ飛ばそうとしていたら、最初のサテライト・スキャンによって近づいていたプレイヤーに背後から襲われたのだ。

幸い、相手側も相手がかの《爆弾魔(ツァーリボンバー)》だと分かっていたせいか、地雷を警戒して近付く気配を察せたおかげで助かった。その点では、この地雷は立派に役目を果たしたと言えよう。

手早く周囲にバラ撒いていた地雷を回収し、少女は急いでその場を離れた。

音や爆煙を見つけて寄って来るプレイヤーは少なくない。一人はともかく、二人以上を相手取る乱戦や混戦はご遠慮願いたいのが本当だ。

田園エリアを一望できる、森林の本当にギリギリの縁から飛び出し、時折吹く風鳴りに揺れる稲穂の草原の中を突っ走る。

あらかじめ決めていた、田園を過ぎたところに散発して建っている民家までひた走った。途中、チラリと手首にまかれたデジタルウォッチを見ると、本大会開始から三十分まであと二分と少し。二回目のサテライト・スキャンもあと少しになっていた。

木造の民家の薄いドア
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