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White Clover
流転
座して微笑う串刺し公T
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幾つもの大部屋や小部屋に幾重にも別れた廊下や回廊。
城内には多くの異端者がおり、皆外界とは違い不安も恐怖もなく、ただこの時を笑顔で過ごしている。

「本当に無駄に広い城ね。せめて、もうちょっと近いところにヴラドの部屋を作りなさいよ」

「ご存じでしょう、ヴラド様は特別がお好きなのですよ」

そんな会話をしながらも長い廊下を進み、ほどなくして大きな扉の前へと辿り着く。
黄金と様々な宝石に彩られた豪華な扉。

こういってはなんだが、悪趣味だった。

アルバートがその扉を開くと、そこには今までのどの部屋とも比べられない巨大な室内。
王の謁見室のようであった。

左右の壁際には空想の生物が模された石像がずらりと並び、中央には奥の玉座まで続く赤い絨毯。

そしてその玉座には、年端もいかない黒髪の少年が一人、玉座に肘をつき足を組んで、悪戯な笑顔を此方へと向けていた。

まさか、とは思うが―――。

できるだけ声を絞り、私は彼女に耳打ちをする。

「そう、彼がヴラド=ツェペシュ。この城の主よ」
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