第四十一話 レベルアッパー取引現場
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のだが、腰の高さと胸の高さで横向きに飛ばされた鉄パイプは、見えているトリックアートをすり抜けて斜め後ろに居た実体へ見事に直撃したのである。確かに矢のように飛ばす白井さんの武器だと相手の正確な位置が分からなければ当てる事が出来ないわけだが、一本5mを超えるぐらいの鉄パイプを横向きで飛ばせばかなり離れた位置に居ない限りは当たるだろう。しかも縦方向まで考えて二本を上下に配置し同時に飛ばしている辺り、さすが白井さんとしか言いようがない。
「それで白井さん、コイツらどうすんの?」
「そうですわねぇ……初春がアンチスキルにも連絡を入れているはずですし、到着するまえに気がつかれると厄介ですから拘束しておきますわ」
俺が聞くと白井さんは鞄からロープを取り出して犯人達を拘束していく。慣れているというのか、あまりの手際の良さに思わず感心してしまった。
「神代君、白井さん、もう大丈夫なんですか?」
「もう大丈夫だよ」
「ええ、大丈夫ですわ。後はアンチスキルが来るまで待つことにして……その間に詳しい話を聞かせていただきますの」
白井さんが犯人を拘束し終えた後、これまで後ろの方で隠れて状況を見ていた佐天さんが聞いてきたので、俺と白井さんが答える。
「それなら、俺達が見かけてからの一部始終を録画してあるからこれを見ると良いよ」
「いつの間にそんな事してたんですか!?」
「いつの間にそんなものを?」
もし白井さんが来るのが遅くなって、俺がトリックアートの相手をしなければならないという状況になったときのために仕掛けておいた、小型ビデオカメラを取り外して白井さんに見せる。
「ここに来てすぐぐらいからだよ」
「ま……まずは見せて下さいまし」
「はい、どうぞ」
白井さんにビデオカメラからメモリーカードを抜き取って渡すと、白井さんは自分のケータイに差し込んで映像を見始める。白井さんのケータイって特殊な形してるけど、メモリーカードを挿す場所ってあったんだ……。
時間にして数分と言ったところだろうか、白井さんが全ての映像を見終わってメモリーカードを返してくれた。映像データは白井さんから初春さんの方へ送られたらしい。
「ビデオを撮る前の状況とかはどうでしたの?」
「俺達が来たときにはすでに被害者が「話が違う」みたいな事言ってて、コイツらが「値上がりしたからあと10万持ってこい」って言ってた所ですぐにビデオ回し始めたから、ビデオの前はそのぐらいしか見てないよ」
白井さんからビデオ映像より前の状況を聞かれるが、ここに到着して早々にビデオを回し始めたのでそれほど説明できる事が無い。そんな事を言っている間にアンチスキル車両のサイレン音が聞こえてきた。
「そうでしたの」
「あ、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ