第四十一話 レベルアッパー取引現場
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へへっ、なかなか面白ぇ能力使ってるじゃねーか。コイツは楽しめそーだなぁ」
殴り倒した舎弟が気絶しているのを確認した白井さんがトリックアートの方へ振り返ると、ゆっくりとトリックアートが白井さんの方へ向かって歩き出した。ここでようやくトリックアートの気配を感じる位置と見えている位置にずれが生じる。白井さんがテレポーターなのはさっきまでの戦闘を見て分かったはずだし、白井さんの目をごまかす事はかなり有効な方法だろう。
「白井さん、ソイツ見えてる位置と実際に居る場所が違うよ」
「ああっ? テメェ、俺の能力に気付きやがったのか」
俺が白井さんに注意を促すと、トリックアートが驚いたように俺の方を見てきた。いや、“見えている”トリックアートは俺の方を見ているように見えないのだが、トリックアートが俺を注視している気配をひしひしと感じるのである。
「なるほど、そう言う事でしたのね」
白井さんはすぐに正しく把握してくれたようで、トリックアートに対しての警戒を更に強めている。
「代わりに俺がやろうか?」
「いえ、大丈夫ですの。相手の能力を知らなければかなり危なかったかもしれませんが、教えて貰いましたし後はこちらで何とか致しますの」
俺は気配が分かっていると言う事で一応白井さんに声を掛けてみるが、思った通り白井さんは自分で決着を付けたいようだ。
「じゃ、頑張って」
「勿論ですの」
どういう方法でトリックアートを撃退するかは想像も付かないが、白井さんなら大丈夫だろうと思って任せる事にする。白井さんの雰囲気からもかなり強い勝算があるのだろう。
「テメェら、ふざけやがって!」
「他人の演算を借りて能力と暴力を奮ってるあなた方には言われたくありませんの」
俺と白井さんのやりとりにトリックアートが声を上げ、それに対して白井さんは呆れたように返していた。
「だいたい、俺の能力に気付いたところで、俺の居場所は分からないんだからな!」
「いや、分かるけど……」
「分からなくても分からないなりに対処のしようはありますのよ」
「なんだとっ!?」
トリックアートの言葉に対して俺がボソッと呟く中で白井さんはそう言うと、廃ビルの解体作業で使う足場用の鉄パイプが置いてある場所に向かう。
「テメェら、黙って聞いてりゃいい気になりやがって!」
「いや、黙ってなかっただろ」
「対処する方法があるなんてはったりだと思われているのかもしれませんが、あなた程度ならこれで充分ですの」
怒りを露わにするトリックアートに対して俺が突っ込みを入れる中、白井さんは淡々としゃべりながら鉄パイプに触れた。
「なっ!! うがっ」
白井さんがテレポートさせた鉄パイプは2本だった
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