第四十一話 レベルアッパー取引現場
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でもねぇだろーが! レベルアッパーは売ってやるって言ってるんだから、素直に金用意して来りゃ良いんだ……よっ!」
さすがに『ヒムラ』とか『少年A』では問題ありそうなので、適当に『マッシュルームカット』とでも呼ばせて貰うが、そのマッシュルームカット君に対してトリックアートの舎弟が脅しを掛けて最後に蹴りを入れる。「たかだか10万程度」等と言っているけど、レベルアッパーを欲しがるような人が、その金額を工面するのにどれだけ大変か知らないのだろうか。
「うぐっ……がっ……や、やめてくれ」
「ど……どうしよう、神代君」
トリックアートの命令によって舎弟達がマッシュルームカット君に暴力を奮い始めたのを見て、佐天さんが俺の腕にしがみついてきた。このままじっとしていても意味が無いので、俺は佐天さんに自分のケータイを渡す。
「これで初春さんか白井さんに電話して。」
「ん、なんだ? お前ら」
俺が佐天さんに頼むと、その声に気付いたのかトリックアートが振り返ってこっちを見ていた。
「まー……何て言ったら良いのかねぇ……。ちょっと通りすがっただけで、特に善良ってほどでも無い只の一般市民……ってところだ」
俺はトリックアートの方に向かってしゃべりながら歩き、見えている位置と気配を感じる位置の誤差を確認する。わざわざ時間を掛けるようにしゃべっているのは、佐天さんが初春さんに連絡する時間を稼いでいるのである。舎弟の二人は能力が分からないのでそちらへの注意も怠らない。
「何だと? ちっ、ヒーロー気取りのガキかよっ!」
「初春! すぐに白井さんをっ、レベルアッパーの取引現場だから早くっ!!」
トリックアートが悪態をついたところで、初春さんとの電話が繋がったようだ。後は初春さんから白井さんに連絡が行って、白井さんがこの場所に到着するのを待つだけである。
「ああ? ジャッジメントでも呼んだってかぁ?」
「はい、呼ばれましたの」
馬鹿にしたように言ったトリックアートに答えたのは俺の隣に現れた白井さんである。
「のわぁっ!?」
「早っ!!」
いきなり現れた白井さんにトリックアートと佐天さんが驚く。いや、俺も驚いたのだが声を出す事が出来なかった。
「いくら何でも早すぎない? 白井さん」
取り敢えず冷静になって白井さんに聞いてみる。まだ佐天さんが掛けている電話は初春さんと繋がったままか、初春さんが電話を切った所ぐらいのはずで、どう考えても白井さんまで連絡が来ているとは思えないのである。
「初春からレベルアッパーが取引されている可能性のある場所ということで、元々こちらにも来る予定だったのですが、初春からの指示で先ほど神代さんがメールをしていた場所に行ってみたところで佐天
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