第四十一話 レベルアッパー取引現場
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」
俺の進言で佐天さんがケータイを操作しようとするが、ピッという音と共にバッテリー切れを示す表示が出ると、佐天さんのケータイはそのまま電源が切れてしまった。
「あらま、それならレベルアッパーの入ってるメモリーカード貸して?」
「う……うん」
佐天さんからメモリーカードを受け取り、俺のケータイでデータを読み込む。
「レベルアッパーってこのファイル?」
「うん、それ」
一応俺は知っているのだが、佐天さんにレベルアッパーのファイルを確認してから初春さんへ電話を掛ける。
「あ、もしもし、初春さん? レベルアッパー入手したからそっちに送るねー」
『え、神代君? どういうことですかっ!?』
「取り敢えず、今から送るから待ってて」
『ちょっ、こ……』
佐天さんの事もあるので余計な詮索をされないうちに電話を切って、すぐにメールで初春さんにレベルアッパーを送った。
「送信っと、これで良し。はい、メモリーカード」
「あ……うん」
こうして一通りの作業が終わったのでメモリーカードを佐天さんに返し、最後に一つだけ忠告をしておく。
「それはしばらく持っておけば良いと思うよ。佐天さんの能力を使いたいっていう気持ちは、最初から能力が使えてる俺なんかに正しく理解できてるはずも無いからね。レベルアッパーの危険性とか、使ってる人がどうなってるかって言うのも佐天さんは知ってるんだし、それでもなお使いたいって言うなら……俺は止めない」
「う……うん。ありがと」
佐天さんの表情が少し明るくなっただろうか、昨日の話し合いの事もあるし、佐天さんがレベルアッパーを使う可能性はかなり減っているのでは無いだろうか。そんな事を考えながら佐天さんと一緒に歩いていると、空き地の方から声が聞こえてきた。
「これじゃー足んねーんだよなぁ」
「この値段でレベルアッパーを売ってくれるって言ったじゃないか!?」
「ついさっき値上がりしちゃってさぁ。コイツが欲しけりゃ、もう10万持ってくるんだな」
話の内容から間違いなくトリックアートがレベルアッパーを取引している現場だろう。そしてレベルアッパーを売りつけられている相手は、二次創作などでよく『ヒムラ』と言われていた人物だ。本当の名前は知らないし、もしかしたらアニメのエンディングでも『少年A』ぐらいにしか表記されてなかったのかもしれないが……。そんな事を考えながらも俺は、持っていた超小型ビデオカメラをマグネットで近くの金属板に固定してから録画し始める。
「そっ……そんな大金すぐに用意できるわけ無いだろ。だったら、今渡した金を返してくれ」
「あぁ? 何言ってんだコイツ。お前のレベルが上がるのと、たかだか10万程度の金と比べるま
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